【合田直弘(海外競馬評論家)=コラム『世界の競馬』】◆25/26年シーズンからの新体制が発表し 25/26年シーズンか…
【合田直弘(海外競馬評論家)=コラム『世界の競馬』】
◆25/26年シーズンからの新体制が発表し
25/26年シーズンから、大手馬主ジョン・パトリック・マクマナス氏の主戦騎手をハリー・コブデン(27歳)が務めることが明らかになったのは、1月12日のことだった。
昨年のクリスマス休暇が終わった辺りから、競馬業界には噂として伝わっていたが、12日に馬主自らが発表したものだ。
21歳の時にブックメーカーのライセンスを取得し、大きな利益を手にしたのがJ.P.マクマナス氏だ。豊富な資金を、不動産や外貨運用といった分野に投じ、それがさらに利益を生んで、推定で20億ユーロ(3700億円)を上回る莫大な資産を作るに至った。
70年代から馬主業に参画。所有馬のほとんどが障害馬で、G1チャンピオンハードル(芝16F87y)3連覇を果たしたイズタブラク、G1ステイヤーズハードル(芝23F213y)連覇を果たしたバラクーダ、G1チェルトナムゴールドC(芝26F70y)の12年の勝ち馬シンクロナイズド、25年の勝ち馬アイノーザウェイユーアーシンキンなど、数多の名馬を所有してきた。
マクマナス氏の主戦と言えば、真っ先に思い浮かぶのはA.P.マッコイだ。95/96年から現役最終年となった14/15年まで、20シーズン連続障害リーディングという空前にして絶後の大記録を作ったマッコイが、マクマナス氏の主戦となったのは04/05年からで、引退まで11シーズンにわたって、その座を務めた。
マッコイの引退後は、バリー・ジェラティが主戦となったが、そのジェラティが20年に現役を引退。以降、アイルランドにおける主戦はマーク・ウォルシュが務めてきたが、イギリスでは主戦を置かず、複数の騎手を起用していた。
マクマナス氏は発表したステートメントの中で、25/26年はイギリスもアイルランドもハリー・コブデンが主戦になることを明らかにしている。
ハリー・コブデンは98年11月5日、英国南西部のサマーセット州で農場と食肉処理場を営む一家の次男として生まれた。幼少の頃から乗馬に親しみ、ポニー競馬に参戦したハリー・コブデンは、学校が長い休みに入るとロン・ホッジス厩舎で働き、競走馬に接するようになった。
その後、アンソニー・ハニーボール厩舎で修行を積んだ時代を経て、14/15年に騎手デビュー。翌15/16年から、大御所ポール・ニコルス厩舎所属の見習い騎手となった。
15年11月、ニコルス厩舎のオールドガードに騎乗してチェルトナム競馬場のG3グレートウッドハードル(芝16F87y)を制し、重賞初制覇。翌16年11月に、同じくニコルス厩舎のアーヴィングに騎乗してニューキャッスル競馬場のG1ファイティングフィフスハードル(芝16F46y)を制し、G1初制覇を果たした。
18年3月、コリン・ティザード厩舎のキルブリッケンストームに騎乗し、G1スパノービスハードル(芝23F213y)に優勝。チェルトナムフェスティバルにおける初勝利をあげた。25年のG2ゴールデンミラーノービスチェイス(芝20F127y)をP.ニコルス厩舎のコールドウェルポッターで制し、チェルトナムフェスティバルにおける通算勝利は6まで積み上がっている。
23/24年、1シーズンで164勝をあげ、自身初の英国リーディングを獲得。24/25年は116勝で第3位。25/26年は1月17日現在71勝で、第5位となっている。J.P.マクマナス氏の所有馬への騎乗はここまで67回あり、13勝を挙げている。マクマナス氏の発表を受け、ハリー・コブデンも、「マクマナス氏の主戦を任されるというのは大変名誉なことで、こういう機会を与えられたことを喜んでいます。来シーズンが、とても楽しみです」とのコメントを出した。
そのマクマナス氏とハリー・コブデン騎手が、早速タッグを組むことになったのが、1月17日にアスコット競馬場で行われたG1クラレンスハウスチェイス(芝16F172y)だった。マクマナス氏はここに、ニッキー・ヘンダーソンが管理するG1・10勝馬ジョンボン(セ10、父ウォークインザパーク)をエントリー。
同馬の主戦であるニコ・デ・ボワンヴィルがこの日、G2ロッシングトンメインノービスハードル(芝15F144y)で大本命に推されていたオールドパークスター(セ6、父ウェルチョーズン)に騎乗するため、ヘイドックパーク競馬場に行くことになり、その代役としてコブデンが指名されたのだ。
ところが、その日の第4競走に組まれたハンディキャップチェイス(芝21F13y)で、デヴィッド・パイプ厩舎のネオンムーン(セ10、父ノーリスクアットオール)に騎乗していたコブデンは、9号障害で落馬。その後の騎乗を取りやめることになり、第6競走に組まれていたG1クラレンスハウスチェイスのジョンボンにも、騎乗することが出来なくなった。ジェームス・ボウデンに乗り替わったジョンボンは、見事にG1クラレンスハウスチェイスを制している。
(文=合田直弘)