<大相撲初場所>◇11日目◇21日◇東京・両国国技館東前頭16枚目の朝乃山(31=高砂)が、同6枚目の平戸海を寄り切り、…
<大相撲初場所>◇11日目◇21日◇東京・両国国技館
東前頭16枚目の朝乃山(31=高砂)が、同6枚目の平戸海を寄り切り、8勝目を挙げた。幕内での勝ち越しは、2024年春場所以来11場所ぶり。17年に急逝した富山商高時代の恩師・浦山英樹さんの命日に白星を届けた。3敗を守り、7年ぶりの優勝にも可能性を残した。大関安青錦、平幕の熱海富士、阿炎が9勝2敗で優勝争いのトップに並んでいる。
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右差しを警戒されていることは分かっている。それでも朝乃山は、右をねじ込んだ。自分の相撲-。これを体現するように右のかいなを返し、相手の上体を起こす。同時に左の上手をつかんで寄り切った。理想の形で勝った。「踏み込みは負けないように、相手を正面において寄り切れて良かったです」とかみしめた。
幕内での勝ち越しは約2年ぶり。6歳年下の平戸海との対戦はちょうど2年ぶりだが、実力差が縮まっていないことも証明した。左膝前十字靱帯(じんたい)断裂などの大けがから復帰し、9場所ぶりの幕内でも十分戦えることを示した。
「初日から、膝も少しずつ良くなって、足の運びも良くなっているのが良かったと思います」。毎朝、稽古の前に取り寄せた甘糀を食べる。美肌効果だけでなく、疲労軽減に役立っている。細かな体調管理の積み重ねとその思いを、結果につなげている。
特別な日でもあった。富山商高相撲部の監督だった浦山英樹さんが、9年前の1月21日に40歳で急逝。遺族からは「富山のスーパースターになりなさい」との遺言書を託された。命日に毎年勝てるわけではない。「勝ったり負けたり、そういう人生。今日に限らず、自分がどれだけはいあがれるか、見ていて欲しい。恩師もそうですし、父、じいちゃんも見ててくれると思う。僕が結果を出せば喜ぶし、皆さんに勇気や元気を与えられる。それを見ていてほしい」。
残り4日間。勝ち越しても「そういう喜びも場所が終わってから。まず明日に向けて切り替えていきます」。目標とする三役、大関への復帰へ向けて、勝つごとに近づいていく。同時に、優勝の可能性すらまだ残る。ここからの戦い方、気持ちの持ち方は、7年前に経験済みだ。【佐々木一郎】