20年の三冠を制したコントレイルを「最も苦しめた馬は?」と聞けば、アリストテレスの名前が挙がるのではないだろうか。そ…

 20年の三冠を制したコントレイルを「最も苦しめた馬は?」と聞けば、アリストテレスの名前が挙がるのではないだろうか。そんな彼が生涯唯一の重賞タイトル獲得となった21年のアメリカジョッキークラブカップを振り返ろう。

 アリストテレスは父エピファネイア、母ブルーダイアモンド、母の父ディープインパクトの血統。曾祖母は名繁殖牝馬のバレークイーンで、近親にはフサイチコンコルドやアンライバルド、ヴィクトリーなどのGIウイナーが並ぶ良血馬だった。

 19年9月に栗東・音無秀孝厩舎からデビュー。春は若駒S、すみれSと連続2着に終わり、クラシック出走を果たせず。それでも夏から秋にかけて1勝クラスと2勝クラスを連勝。待望の重賞初挑戦となった菊花賞では、三冠が確実視されたコントレイルをクビ差まで追い詰める力走を見せて、多くのファンを沸かせた。

 そして古馬になっての始動戦に選ばれたのがAJCCだった。単勝2.4倍の1番人気に推された一戦、アリストテレスは力強い走りを披露した。中団の前寄りで運び、勝負所で進出開始。4角で外から前に並びかけると、残り200mで先頭に立った。そこから同期のヴェルトライゼンデ、伏兵ラストドラフトに追い上げられたものの、半馬身退けてフィニッシュ。ライバルにも初体験の不良馬場にも打ち勝ち、初タイトルをつかみ取ったのだった。

 更なる飛躍が期待されたアリストテレスだったが、残念ながらこれが最後の勝利となった。現役引退後は阪神競馬場で誘導馬となり、昨年9月にデビュー。第二の馬生での活躍にエールを送りたい。