NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン1 第5節(リーグ戦)カンファレンスB2026年1月17日(…

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第5節(リーグ戦)カンファレンスB
2026年1月17日(土)12:05 神戸総合運動公園ユニバー記念競技場 (兵庫県)

コベルコ神戸スティーラーズ 67-21 リコーブラックラムズ東京

特別な日の特別な試合に圧勝。これからも神戸のために、大切な誰かへ、大切な思いを運ぶ


マイケル・リトル選手のトライを祝福する李承信 共同キャプテン

デイブ・レニー ディレクターオブラグビー/ヘッドコーチは夢中になり、灯ろうに火を灯した。神戸市中央区の東遊園地。その表情は一見、険しい。それでも、どこか温かさも感じられた。

「自分の中の思いが高まるものがあります。自分自身の愛している家族のことも考えますし、どういった方が亡くなったのかを考える時間にもなります。静寂に包まれる、黙とうを捧げる前の瞬間というのは本当に特別なものがあります」

阪神・淡路大震災から31年。恒例の追悼行事『1.17のつどい』に、昨年に続いてボランティア参加したコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)の選手やスタッフ。鎮魂の祈りを捧げながら誓った、感謝と恩返し。16日夕刻、参加した共同キャプテンのブロディ・レタリックは灯ろうにメッセージを書いた。

in our memories──。

「私たちの記憶の中に。震災が起こったときのことを、自分の身に置き換えて考えてきました。さまざまなものを失った人、大きな痛みを乗り越えていまここにいる人たちがいます。そういう人たちがいるということを忘れてはいけない。そういう意味を込めました」


「1.17のつどい」に参加したコベルコ神戸スティーラーズの選手・スタッフ

ジャパンラグビー トップリーグ時代を含めて初めてリーグ戦の試合があった17日、レタリックは鬼神のごとき働きだった。前半だけでハットトリックを決める計4トライ。今季最多得点での勝利を、4番は体を張ってけん引した。特別な日の、特別な試合。「自分たちの力に間違いなくなりました。この街のために僕らができることはしっかりと勝つ、いいプレーをすることです。それを今日はできたのかなと思います」。支えてくれる街の人、ファンの存在は大きかった。

もう一人の共同キャプテン、李承信は神戸市出身。同じく16日夕刻、灯ろうに“思い”を込めてこう書いた。

神戸のために―─。

「一人ひとりの思いが感じられました。一人の方が奥のほうまで火を灯して、それを見て別の一人が手伝って、どんどん輪が広がって。震災のときも助け合いながら自分のことを犠牲にして神戸の街のためにされてきたんだと実感できました。自分はラグビーをとおして、神戸の街のために戦える立場でもあります。それをしっかりと自分のモチベーションにして、アイデンティティーにできるようにしていきたいと思っています」

支える、支えられる。決して忘れず、次につなぐ。神戸Sは全員でボールをつなぎ、大切な誰かへ、大切な思いを運ぶ。

(小野慶太)

コベルコ神戸スティーラーズ


コベルコ神戸スティーラーズのデイブ・レニー ディレクターオブラグビー/ヘッドコーチ(左)、李 承信 共同キャプテン

コベルコ神戸スティーラーズ
デイブ・レニー ディレクターオブラグビー/ヘッドコーチ

「本当にハッピーです。試合をとおして、しっかりと丁寧に(得点を)取り切ることができたと思いますし、私たちにとって大事なベーシックな部分を高いレベルで遂行できました。リコーブラックラムズ東京さんに対しても、コンスタントにプレッシャーを掛け続けることができたと思います。自分たちの街にとって本当に大事な1週間、そして今日という本当に大事な日に、敬意をしっかりと表すことができるパフォーマンスを出せたことをとてもうれしく思います」

──伊藤大祐選手が急きょメンバーに入りましたが、彼のパフォーマンスの評価をお願いします。

「大祐に関しては、自分たちが自信をもって送り出した選手の一人です。松永貫汰が試合に出られないとなったときに、いろいろなオプションがあったと思うんです。李承信を15番にもっていって、違う選手を入れるということもできたと思いますが、今週1週間、大祐は素晴らしいパフォーマンスを練習の中でも発揮してくれていました。今日、大祐がチャンスをつかんだ上で、フィールドでパフォーマンスを発揮してくれて良かったと思います。現在、チームの中でいろいろなポジションの競争が激しくなってきています。今日、(出場の)チャンスを得られなかった、いい若手の選手もたくさんいます。その内容というのが今日の試合のパフォーマンスに現れているかなと思います。出場した23人に関しては、来週も選ばれるべきパフォーマンスを見せた選手は多かったと思います」

コベルコ神戸スティーラーズ
李承信 共同キャプテン

「レンズ(デイブ・レニー ヘッドコーチ)も話していたとおり、この1週間は『神戸の街のためにどうプレーしないといけないのか』ということを選手たちと話してきました。一昨日(の夕刻)と今日の早朝に関しては、震災の集い(阪神・淡路大震災1.17のつどい)に実際に選手自身が参加し、思うことがたくさんありました。被災された遺族の方々、神戸市民の方々と火を灯しながら『本当に今日はこの自分たちの街のために戦わないといけないんだ』と思いました。グラウンドに立つまでのチーム一人ひとりのマインドセットが本当に良かったと思います。

今日の試合に関しても、自分たちのパフォーマンスで、自分たちのラグビーで恩返しをして、リスペクトの気持ちをしっかりと表現しようと話していました。前半と後半の立ち上がりは少しソフトになった部分はありましたが、アンストラクチャーのところ、激しさのところでスティーラーズらしさを出すことができ、こういう結果で終われたことを本当にうれしく思います」

──先ほど「恩返し」という言葉もありましたが、試合終了後、選手のみなさんがスタンドに挨拶に向かった際、ファンから「ありがとう」という言葉が聞こえてきていました。"強い神戸"を見せてくれたことに対する「ありがとう」だと感じましたが、ファンの姿を見てどのように感じましたか。

「今日に限らず、ホストゲームではいつも力強いメッセージ、声援をいただいています。自分たちのパワーになって背中を押してくれていますし、今日に関しては本当にこの会場に来ているファンだけでなく、この神戸という街に関わるすべてのみなさんのためにプレーしたいと思いました。みなさんの笑顔を見たくて、グラウンドでベストを尽くすことを目標にしてきました。自分たちに感謝を述べてくださるファンのみなさんの声を聞けて、またさらにスティーラーズとしていい活力になりましたし、この1週間をとおして、あらためて『誰のために戦わないといけないのか』をクリアにすることができました。チームとしてより一層、成長できた1週間だったかなと思います」

リコーブラックラムズ東京


リコーブラックラムズ東京のタンバイ・マットソン ヘッドコーチ(左)、TJ・ペレナラ キャプテン

リコーブラックラムズ東京
タンバイ・マットソン ヘッドコーチ

「スコアを見ていただければ、自分たちのパフォーマンスが表れていると思います。"相手を止める"ということができず、それがスコアに表れているかなと感じています。(今季は)いいスタートが切れたかなと思っています。そこはポジティブに捉えていますが、ターンオーバーボール、ターンオーバーアタックは、相手からレッスンを受けるような形になったと思います。やっぱり、ターンオーバーされてしまうと、必ず罰を与えられるようになります。1試合をとおしてそれをされたかなと思います。自分たちはエナジーだったり、解決策を生み出してリアクションすることだったりができませんでした。ヘッドコーチとしては準備のところに責任を感じています。ここまで来て、こういう悪い終わり方をしてしまったことは本当に残念です」

──秋濱悠太選手がデビューしましたが、彼の評価と今後に期待することを教えてください。

「これから長いキャリアが続く選手になると思っています。あのような状況で若い選手が出場して"光る"というのは難しいことですが、彼はそれをしたと思います。アタックでもディフェンスでも(いいプレーを)見せてくれました。ファーストゲームとして非常に良かったと思います。またセレクションミーティングが難しいものになると思います。今回、(秋濱のメンバー入りが)セレクションされたのは木曜日にけが人が出てからだったんですけど、いいパフォーマンスを見せてくれました。すごく誇りに思います」

リコーブラックラムズ東京
TJ・ペレナラ キャプテン

「試合前から相手の強みがターンオーバーアタックであることは分かっていました。そのため、まずはターンオーバーを起こさないこと、そして、ターンオーバーされたあとのエナジーやコネクション(のレベル)を高く保つことが大事だと考えていました。ですが、今日はターンオーバーされたときに必要なエナジーレベルを見せられなかったと思います。相手は本当にいいチームです。ターンオーバーアタックに関してはリーグでもナンバーワンだと思います。なので、もう一度対戦するときは、そういった部分をしっかり止められるようにしたいです。また来週もビッグゲームなので、もう一度しっかりとチームとして一つになってやっていきたいと思います」

──非常にいいアタックが何度もあったと思いますが、最後にボールがつながらないシーンが多かった印象です。神戸の選手のディフェンスが良かったのか、その要因はどこにありますか。

「相手のいいディフェンスもあったと思います。それに加えて、自分たちの辛抱強さがちょっと足りなかったのもありました。特に、相手の22mラインの中を"レッドゾーン"と呼んでいるんですけど、ターンオーバーされてもまさか失点するとは思わないじゃないですか。スクラムとかペナルティとか、どこか別のところでセットピースにつながることが多いものです。しかし、今日はいいアタックをしているときに、ターンオーバーされて、それをすぐにポイントにされたり、または、自陣に近い位置でのラインアウトにされてしまいました。いいエリアに入ってもターンオーバーが起きてしまうことはありますが、そこから大きく真逆にプレッシャーを感じる側になってしまいました。ターンオーバーされたとしても、相手もビルドしないと(得点を)取れないようなプレッシャーを掛けられるようにしなければいけません。ただ、今日は一発(のターンオーバー)でピンチという状況ができてしまいました」