連覇を支えた投手力と世界基準の速球 3月に開幕するワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、侍ジャパンは大会連覇を…

連覇を支えた投手力と世界基準の速球

 3月に開幕するワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、侍ジャパンは大会連覇を目指す。前回大会で3大会ぶり3度目の優勝を果たした最大の要因は、他国を圧倒した投手陣の存在である。2023年大会でベスト4に進出したチームの投手成績を比較すると、侍ジャパンは防御率、与四球率で全20チーム中1位、奪三振率でも2位と、ほぼすべての主要指標で抜きん出た数字を残した。

 特に際立っていたのが速球の質である。ストレートやツーシームといった速球系球種の平均球速は大会全体で見ても高水準にあり、ベスト8進出チームの平均は2023~25年のNPB平均を3.6キロ上回った。超一流の打者が集う国際舞台では、球速不足は致命傷となる。大会を通じ、150キロ未満の速球系は被打率.349、被長打率.535と打ち込まれた一方、150キロ以上では被打率.251、被長打率.380と明確な差が生じた。

 その中で侍ジャパン投手陣は、全20チーム中3位となる平均153.1キロを記録した。剛速球を武器に強打者を正面からねじ伏せる力こそが、世界一奪還の土台となっていた。

 球種別成績に目を向けると、フォークやスプリットといった縦に鋭く落ちる球種に、多くのチームが対応できていなかったことが分かる。前回大会で侍ジャパン投手陣は、この傾向を突くようにフォーク系球種を積極的に使用。投球割合22.2%は全チーム最多で、2位の韓国を大きく引き離していた。侍ジャパンの十八番ともいえるフォーク系を軸に据えた投球が、好成績につながったのは明らかである。

 こうした傾向を踏まえ、速球の威力と高品質なフォーク、スプリットを兼ね備えたパ・リーグの投手に注目する。国際大会での活躍が期待できる存在として、3人の剛腕を取り上げる。

斎藤友貴哉のツーシームは驚異の平均157.3キロ

○種市篤暉投手(ロッテ)
 2025年シーズン、種市投手は後半戦に防御率1.45、奪三振率11.38と圧倒的な成績を残した。ストレートの平均球速は150キロに届かないものの、空振り/スイング率12.4%を記録し、球速以上の威力を誇る。決め球であるスプリットとの組み合わせで奪三振を量産した。

 加えて、スライダーの質も高い。後半戦における3球種すべての空振り/スイング率は、投球数100以上の先発投手の中でリーグ3位に入った。速球、スプリット、スライダーを高水準で操る奪三振能力は、国際舞台に適した武器である。

○山下舜平大投手(オリックス)
 山下は腰のコンディション不良により、2025年は先発3試合、救援1試合の計4登板にとどまった。それでも残した数字は群を抜いている。先発投手としてのストレート平均球速155.5キロはリーグ最速で、2位に約3キロの差をつけた。空振り/スイング率15.8%もトップで、圧倒的な球威を示している。

 さらに、空振り/スイング率26.6%を誇るフォークも大きな武器である。剛速球と落差の大きいフォークを併せ持つ投球スタイルは、ワールドクラスの打者に対しても十分に通用する。登板数の少なさは懸念材料だが、純粋な球質の高さは際立っている。

○斎藤友貴哉投手(日本ハム)
 斎藤は2025年シーズンを通じて安定した投球を見せ、特にパーソルCSパでの4試合が強烈な印象を残した。打者14人に対し被安打0、奪三振5と、短期決戦で無類の強さを発揮した。このシリーズで軸となったのが、新たに投げ始めたツーシームである。

 一般的には打たせて取る球種とされるが、斎藤の場合は平均157.3キロという球威によって空振りも奪える点が特徴だ。2025年のNPBで、ストレートを含む速球系球種の平均球速は日本人投手最速を記録した。“スピードキング”の異名にふさわしい剛腕は、侍ジャパンでも大きな戦力となり得る。

 多士済々の顔触れがそろう侍ジャパン投手陣に食い込むのは容易ではない。しかし、今回取り上げた3人はいずれも明確な武器を持ち、WBCという最高峰の舞台で力を発揮できる資質を備えている。井端ジャパンがどのような投手陣で連覇に挑むのか。早ければ1月中にも行われる代表選手発表の行方が注目される。

※文章、表中の数字はすべて2025年シーズン終了時点(「パ・リーグ インサイト」データスタジアム編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)