<大相撲初場所>◇5日目◇15日◇東京・両国国技館西前頭12枚目の阿炎(31=錣山)が、初日から5連勝とした。東前頭11…

<大相撲初場所>◇5日目◇15日◇東京・両国国技館

西前頭12枚目の阿炎(31=錣山)が、初日から5連勝とした。東前頭11枚目の千代翔馬を突き落とし。昨年は1場所しか勝ち越せず、大きく番付を落とした。やんちゃが持ち味の男が、「大人になった」と言われて発奮。内容より勝ちにこだわるがむしゃらさを思い起こし、復活の兆しを見せている。勝ちっぱなしは、欧勝馬と2人だけになった。

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不格好でもいい。もはや、内容は気にしない。阿炎は、必死に勝ちにいった。立ち合いから、突き放せない。右をのぞかせて前に出る相手を、下がりながら突き落とした。「思った通りじゃなかったけど、横へ動けた。良かったと思います」。持ち味とする動きの良さで勝ちきった。

本来、いるべき番付ではない。2025年は6場所中、名古屋場所しか勝ち越せなかった。2桁勝利はなし。1年前は小結だったが、西前頭12枚目まで落ちた。平幕の2桁は21年九州場所以来だが、当時はコロナ禍のガイドライン違反で謹慎して番付を下げていた時のこと。勝てなくてここまで下がったのは、18年初場所の新入幕以降初めてだ。

この1年の成績は「悔しかった」と正直に言う。だからこそ、考えを変えた。「いい相撲を取ろうと考えてない。勝つことだけ。勝てば気持ちも乗る。今年はそれだけを意識していく」。勝負の鬼に徹することを決めた。

きっかけもあった。「年をとって、子供もできて、落ち着いたと言われた。応援してくれる人に『大人になった』と言われた。闘志が出てないのかと思って、(心に)刺さりましたね」。大人への成熟は褒め言葉かもしれないが、阿炎はそうとらえなかった。

もともと、何をやらかすか分からない自由奔放さが持ち味。そうして番付を上げ、幕内優勝も果たしてきた。18年夏場所で白鵬から初金星を挙げると、NHKのインタビュールームで「お母さんに早く報告したいので帰っていいですか」と言い放ったのは、もはや伝説。三十路(みそじ)を迎え、言動が落ち着くのは自然の流れだが、相撲もおとなしくなったように思われることは良しとしなかった。

まだ5日目を終えたばかりだが、5連勝は2人だけ。師匠の錣山親方(元小結豊真将)は「まだまだ老け込むには早い。1年流れが悪かったけど、勝ち越し、勝ち越しで三役に戻ってやってほしい。本人も期するところはある」と話す。師弟が見る方向は一致している。【佐々木一郎】