野球殿堂博物館は15日、今年の殿堂入りメンバーを発表し、エキスパート表彰で栗山英樹氏(64=日本ハムCBO)が選ばれた。…

野球殿堂博物館は15日、今年の殿堂入りメンバーを発表し、エキスパート表彰で栗山英樹氏(64=日本ハムCBO)が選ばれた。プレーヤー表彰、特別表彰は選出者がなく、今年は栗山氏が唯一の選出。通知式には前巨人監督の原辰徳氏(67)も同席し、栗山氏を祝福した。

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栗山さんは、WBCで単に優勝だけ考えていたわけではなかった。もちろん、世界一奪回は絶対的なゴールだったが、もっと大きな視点で大会に臨んでいた。そう痛感したのは韓国戦の後だ。1次ラウンド最大のライバルに13-4で快勝したが、相手チームには安佑鎮がいなかった。前年15勝の右腕は過去に起こしたとされる暴力事件が原因で、代表入りできなかった。

翌日の紙面で、私は安の不在を栗山監督が残念がっていたことを記事にした。勝利だけ考えれば、いない方がいいが…。「そんなレベルでものを考えてるわけじゃないから。そんなことよりも、いいピッチャーが出てきて、いい大会にして、それをやっつける。国は違うかも知れないけど、1人の人生が、若い人の人生が、いいものになって欲しいなと思うだけだから」。

後日談がある。たまたま来日中の安の代理人が記事を目にし、安に伝えた。安は栗山監督に感謝したと、人づてに聞いた。自分の記事からのいきさつなので面はゆかったが、栗山監督に報告させてもらった。すると、こう言われた。

「我々もメディアも誰かのためになるためにいるはず。私も含めて失敗しない人なんかいなくて、それをどう生かすか。特に若い人は必ずやり直すチャンスがあるべきだと思う」

名場面や名言の連続だった大会で、個人的に強く印象に残る言葉をもらった。【23年侍ジャパン担当=古川真弥】