「お金の取れるキャッチボール」をもう1度。巨人戸郷翔征投手(25)が14日、宮崎・延岡市の母校・聖心ウルスラ学園で自主ト…
「お金の取れるキャッチボール」をもう1度。巨人戸郷翔征投手(25)が14日、宮崎・延岡市の母校・聖心ウルスラ学園で自主トレを公開した。昨季は8勝9敗とプロ7年目で最大の不振に悩んだ。復活の鍵は20歳の頃、初めて菅野智之投手(36=現オリオールズFA)と行った遠投で絶賛された球筋。今季の目標に掲げた15勝&200イニングへ、最大の長所を追求し直す。
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母校のグラウンドで、戸郷は幾度もフォームチェックを繰り返していた。踏み込み足、体の開き方。仲間に後方から動画を撮影してもらい、細かく確認する。午前9時のピラティスから、ノック。体が温まり、球場を太陽が暖めるころ合いに、キャッチボールを始めた。「自分の良さを、あらためてこの合宿で取り戻したい」。距離が伸びていく遠投に、復活の糸口を見いだしていた。
1つの映像がある。20年8月、セミの声が響くジャイアンツ球場。同年、球団では87年の桑田真澄以来33年ぶりに高卒2年目で開幕ローテ入りした20歳の青年は、エース菅野と初めてキャッチボールをした。距離は100メートル以上。低く伸びてくる球筋に、受け手の菅野が言った。「笑っちゃうな。本当にすごい」。率直な感嘆。そして続けた。「お金取れるキャッチボール」。
その菅野がメジャー移籍し、昨年エースの座を引き継いだ25歳はいま、その我を見返す。「回転の質、高さはすごい、いいものがあった」。遠投になればなるほど、球の強さの強弱が如実になる。ではいまは…。「年々山なりの遠投になって距離も伸びてはきましたけど、質が悪くなっていた」。素直に認める。
3年連続12勝で迎えた昨季。壁を破るため、速度にとらわれた。「何かを変えないといけなかった」と目標値を先に置き、段階が逆になった。「(従来は)いいフォーム、いい力感で投げるから、これぐらいの球速が出ると思っていたのに。反省してます」。ただ、後悔はない。変化なくして進化なし。だから、遠投で求める弾道も回帰だけに終わらせない。「新しい自分にも挑戦したい」と変化球の質、精度も上げていく。
午後に参拝した延岡市内の今山八幡宮では高校時代と同じように階段を駆け上がり、巨大絵馬を奉納した。力強く記したのは「15勝」の文字。力強さをよみがえらせた直球で、成就させる。【阿部健吾】