明治が熱戦を制して頂点に立った(C)産経新聞社 1月11日に第62回全国ラグビー大学選手権大会決勝が明治大と早稲田大の間…

明治が熱戦を制して頂点に立った(C)産経新聞社
1月11日に第62回全国ラグビー大学選手権大会決勝が明治大と早稲田大の間で行われ、明治が22-10で勝利し、7大会ぶりに通算16回目の栄冠に輝いた。両学の大学選手権での対戦は17回目で、通算成績は明治の10勝7敗となった(関東大学ラグビー対抗戦での対戦成績は明治の43勝2分56敗)。
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昨年12月7日以来の対戦となったこのカード。雪辱を期した早稲田を、明治が真っ向からの力勝負でねじ伏せて、見事に返り討ちにした。
明治はラグビー部創設以来の哲学である「前へ」を単なるスローガンに終わらせず、グラウンド上で体現できるだけの十分なフィットネスを身につけていた。
攻めては早稲田守備陣より少ない人数のブレイクダウンで、押し負けないどころか、強力なドライブで前進する場面が度々見られた。守っては、やはり早稲田より少ない人数でのブレイクダウンで互角以上にコンテストし、早稲田の球出しを遅らせた。余った人数をディフェンスラインに回して、綻びを生じさせなかった。
早稲田はいくらフェイズを重ねても、明治ディフェンスを「崩す」仕掛けが不十分なままで、結果として十分なスペースを与えたら怖い存在であるFB矢崎由高やWTB田中健想をフリーで走らせる場面は数少なかった。
試合は、接点でのコンテストで力余って明治の選手が反則を犯したことで得たPGをCTB野中健吾が冷静に決めて早稲田が先制したが、その後は終始明治ペース。PG直後から猛攻を仕掛け、FWが接点を確実にキープしてジリジリと前進。トライライン前で早稲田がピック&ゴーを警戒して密集近辺に寄ったのを見てとったSH柴田竜成がBKラインに展開すると、ゴールポスト前にぽっかりとあいた穴にエキストラマンとして残っていた運動量豊富なPR田代大介が走り込んで豪快なトライ。あらゆる局面で、「前へ」を貫き、継続していたが故の一撃で、まさに明治の面目躍如と言って良いトライだった。
2本目のトライも、準決勝で露呈した早稲田の2次防御の弱さをついたものだった。このシーン、SO伊藤龍之介へのパスは乱れ、ワンバンドしてしまったが、怪我の功名というやつで、ここで生じたちょっとした間が早稲田の選手たちの意識を外に向かわせ、その意識の隙を伊藤が鋭くついてトライラインを陥れた。
早稲田は、前回の対戦でも優位だったスクラム、今シーズンしばしばデザインされたプレーでチャンスを生んできたラインアウトから活路を見出したいところだったが、両方とも明治が前回の轍を踏まぬようしっかりと対策を立てており、有効な攻撃には繋がらなかった。特に、準決勝までの戦いではしばしば得点に繋がったスロワーの清水健伸をキーマンとするサインプレーがほとんど見られなかった。これも、明治のラインアウトに参加したメンバーがしっかりと競ってクリーンな球出しをさせなかったことが原因だ。明治3本目のトライは、早稲田ボールラインアウトのボールを奪ったことが起点となり、FW、BKが一体となってパスを繋いだ見事なものだった。
また、両チームともにSHやSOからのコンテストキックが数多く蹴られ、空中での競り合いも多々見られたが、双方ともに自軍の選手が確保することが多かった。競り合いの後のディフェンスをどうするかについては両チームともにしっかり対策してきていて、キックが致命傷に繋がることはなかった。全世界的な潮流としてハイボールの競り合いが重視される昨今、こうしたプレーへのチャレンジが両チームに見られたのは喜ばしいことだ。さらなる精度向上を期待したい。
早稲田は、後半32分になって、SO服部亮太のループプレーから、ようやく明治ディフェンスに穴をこじ開け、その穴を切り札・矢崎が切り裂き、最後は途中出場のSH渡邊晃樹がトライ。しかしこれは一矢報いたに過ぎなかった。
点数差こそ大して開かなかったが、全ての局面で「前へ」を貫いた明治の完勝と言って良い試合だった。
来シーズンは、「前へ」の矜持を取り戻し、その矜持を裏打ちするだけのフィットネスを身につけた明治に各大学が挑む構図となる。宿命のライバル早稲田を始め、フィジカル勝負なら引けを取らない帝京、天理、京産を中心とした関西勢、ここ数年急速に力をつけた東洋など楽しみなチームはたくさんある。来シーズンの覇者はどのチームになるのか。今から早くも楽しみだ。
[文:江良与一]
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