NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン3 第3節2026…

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン3 第3節
2026年1月11日(日)13:00 久留米総合スポーツセンター陸上競技場 (福岡県)
ルリーロ福岡 20-18 クリタウォーターガッシュ昭島

積み重ねの先に“いま”がある。確かな変化を遂げたチームを映し出すベテランの背中


ルリーロ福岡の八文字(やつもんじ)雅和選手。「派手なプレーは少ないですけど、泥臭く、ボールに絡み続けたい」

年明け最初のホストゲームで、ルリーロ福岡(以下、LR福岡)は確かな成長を示した。クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)との接戦を20対18で制し、これで今季は3試合を終えて2勝1敗。昨季はわずか3勝に終わったチームが、今季は白星が先行している。その好調ぶりを象徴する存在が、クラブ創設時から在籍する八文字雅和だ。

32歳。トライゲッターとして名を知られてきた男は、今季、本職のウイングではなくセンターとして3試合連続で先発出場している。派手なランで観衆を沸かせるタイプではない。だが、八文字はいま、自分に何が求められているのかをはっきりと理解している。「個人の目標より、チームが勝つことが一番」。その言葉どおり、役割に徹する姿勢がチームに安定感をもたらしている。

今節決めた今季初トライも、象徴的な場面だった。本人は「流れは完全にできていて、僕は置くだけだった」と振り返る。しかし、その“置くだけ”に至るまでの過程にこそ、八文字の価値がある。ディフェンスで体を張り、ボールを動かし、相手の勢いを削ぐ。失点を抑え、チャンスを増やす。その積み重ねの先に、トライの機会は自然と転がってきた。

チームが変わった実感も、八文字は肌で感じている。昨季は開幕10連敗という苦しいスタートを切り、リーグワンのスピードやフィジカルに苦しんだ。しかし2年目の今季、基準がようやく体に染みついた。「リーグワンの環境に慣れてきた」。その一言には、遠回りしてきたチームの現在地が詰まっている。

クラブ創設時、「リーグワンに上がれたらいいな」という思いで集まった仲間たち。その中で、ここまで勝てるチームになるとは当時は想像し切れなかったという。それでも八文字は、変化を誇示することはない。若手が台頭するウイングのポジションに固執せず、センターで体を張る選択を受け入れたのも、チームのためだった。

平日は不動産業にフルタイムで従事し、仕事を終えてからグラウンドに向かう。練習に割ける時間は限られ、体のケアに十分な時間を確保するのも簡単ではない。クラブ専属トレーナーの数も多くはない中で、八文字は日々のセルフケアを欠かさない。「若手にはできるだけケアを受けてほしい」と自らは後回しにし、そのぶんを経験と自己管理で補う。その姿勢は、試合だけでなく日常からチームを支えるベテランの在り方を物語っている。

「派手なプレーは少ないですけど、泥臭く、ボールに絡み続けたい」。そう語る八文字の背中は、勝ち方を知り始めたチームの現在を映し出す。積み重ねの先にある一つのトライ。その価値を知るベテランがいる限り、このチームはまだ伸びていく。

(柚野真也)

ルリーロ福岡


ルリーロ福岡の豊田将万ヘッドコーチ(右)、三股久典キャプテン

ルリーロ福岡
豊田将万ヘッドコーチ

「まずは、福岡県ラグビー協会をはじめ、運営に携わってくださったボランティアスタッフの皆さま、高校生ボランティアのみなさん、そして久留米まで足を運んで応援してくださったファンの皆さまに感謝したいと思います。

試合としては、最後まで分からない接戦でした。相手は非常にパワーのあるランナーがそろっているチームで、自由に走らせてしまえば勝機はないと考えていました。そこを選手たちがしっかり理解し、ペナルティをせず、前に出てディフェンスしてくれた。その結果、相手にプレッシャーを掛け続け、チャンスを多く作れたと思います。選手たちは本当によく戦ってくれました。

前半は、リーグワンに参戦してから初めてリードした状態で折り返しました。後半は相手が風上になることもあり、難しい展開になると予想していましたが、選手たちはその状況をネガティブに捉えることなく、良い状態のまま後半に入ってくれた。そこが今日一番評価できるポイントだと思っています。

次の相手はいま連敗しているとはいえ、われわれと同等、もしくはそれ以上の力を持ったチームです。また1週間、しっかり準備していきたいです」

──リードして折り返したハーフタイムでは、どのような指示を出しましたか。

「大きく二つあります。一つは、相手にパスをつながれる場面が多かったので、まずは1対1をしっかり止めること。もう一つは、われわれのディフェンスの部分をあらためて整理し、修正点を明確にした上で後半に送り出しました」

ルリーロ福岡
三股久典キャプテン

「寒い中、本当にたくさんの方に応援に来ていただき、ありがとうございました。ルリーロ福岡(以下、LR福岡)としては、新年一発目の試合ということで、『必ず勝ちにいく』という強い思いを全員で共有して臨みました。

準備段階から敵陣でしっかりプレーするということを徹底し、ゲームコントロールを意識しながら、ディフェンスでは辛抱強く耐える。その積み重ねが最後の勝利につながったと思います。

前半はスペースの使い方や判断自体は悪くなかったのですが、精度の部分で相手のプレッシャーに押され、ミスで終わる場面もありました。そこはハーフタイムに全員で話し合い、後半はしっかり修正できた。80分間、それぞれが自分の役割を遂行できたことが、今日の勝因だと思います」

──新年初戦を勝利し、勝ちが先行しています。その点について。

「素直にうれしいです。ただ、ここで満足することなく、1試合1試合、全員で成長していきたいと思っています。次もより良い姿を見せられるように頑張ります」

クリタウォーターガッシュ昭島


クリタウォーターガッシュ昭島の内山将文ヘッドコーチ(左)、北條耕太バイスキャプテン

クリタウォーターガッシュ昭島
内山将史ヘッドコーチ

「まずは、協会関係者の皆さま、そしてレフリーの皆さまに、素晴らしい環境のもとで試合をさせていただいたことに感謝します。

結果としては負けてしまいましたが、敗因ははっきりしています。自分たちのミスからリズムを崩してしまったこと。特にペナルティを含め、同じようなミスを繰り返してしまい、それを試合の中で修正できなかった。その積み重ねが、最終的な結果につながったと思っています。

ショートウィークになりますが、次節に向けて、その部分を徹底的につぶして臨みたいと考えています」

──前半はLR福岡のキックが多い印象でした。どのように対応し、ハーフタイムではどんな修正を加えましたか。

「キックへの対応というよりも、風の影響が大きかったです。後半はウチが風上に立てましたし、その状況をどう生かすのかがポイントでした。

前半は、LR福岡さんがダイレクトタッチになる場面も多かったので、『キックに頼り過ぎず、ボールを動かして攻めていこう』ということはハーフタイムで伝えました。状況判断を含めて、もう一段階、冷静さが必要だったと思います」

クリタウォーターガッシュ昭島
北條耕太バイスキャプテン

「ヘッドコーチが話したとおりで、やはり自分たちのミスが一番の要因だと思います。いい形で攻める時間帯もありましたし、どんどん仕掛けていこうという共通認識を持って試合に入りました。

前半は風下だったので、エリアをしっかり取って、エリアトラックで前進するプランでスタートしました。流れ自体は悪くなかったと思いますし、その感覚を持ったまま後半に入りました。ただ、最終的には個々のスキルの部分で同じようなミスを繰り返し、得点につなげられない場面が何度もあった。そこが一番悔やまれます」

──試合終盤、落ち着いてエリアを取る選択肢もあったのではないでしょうか。

「そうですね。振り返ると、『一度落ち着いてエリアを取るべきだった』、『もう一度リスタートする選択もあった』と感じる場面はありました。

その場その場で勝ちにいく判断をしていましたが、もう少し冷静に試合をコントロールできた部分もあったと思います。次節に向けては、そういった判断の精度も含めて、普段の練習から修正できると感じています」