NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン2 第3節2026…
NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第3節
2026年1月10日(土)12:00 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
花園近鉄ライナーズ 47-34 日野レッドドルフィンズ
9番へのこだわりを自らの力に。チームの窮地を救ったのは苦悩の日々を乗り越えた男
「やっと回ってきたチャンスだった」試合で1トライを含む活躍をみせた、花園近鉄ライナーズの河村謙尚選手
開幕から連勝スタートを飾った花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)。好調なチーム状況とは対照的に、河村謙尚は背水の陣で日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)戦を迎えていた。
負傷した藤原恵太に代わって巡ってきた先発出場の機会。しかしリーグワンでの先発は、昨年1月25日の日本製鉄釜石シーウェイブス戦以来だった。「やっと回ってきたチャンスだったので、チームを勝たせることが自分の役割だと感じていました」と河村は語る。
「けがをしていたわけではなく、自分のプレーが良くなくて、実力で出られていなかっただけです」。苦悩の昨季をそう振り返る河村だったが、新シーズン開幕前には指揮官から厳しい通告を受けていた。
「試合に出る優先順位はあまり高くない」。太田春樹監督の言葉を象徴するように、プレシーズンマッチで先発の機会は一度もなかった。低い序列からのスタートとなったが、「厳しい言葉でしたけど、それを聞いたおかげで『まだまだダメだ』と気持ちを切り替えることができました」と前を向いた。
日野RD戦では先手を取ったものの、一時逆転を許して今季初めてビハインドを背負う苦しい展開に。後半16分には再逆転を許し、さらにサナイラ・ワクァが警告を受け一時退場(シンビン)となる。場内にアナウンスが響き、花園Lが窮地に追い込まれた直後の後半18分、河村が値千金の逆転トライを決めた。
「フォワードのみんなが頑張ってくれて、おいしいところをもらっただけです」と照れ笑いを浮かべたが、この一撃はチームを救っただけでなく、河村自身にとっても大きな意味を持つワンプレーとなった。
「9番は譲りたくないですね」。さらなる出場機会への渇望を口にする河村は、花園Lで初となる"二刀流"にも挑んでいる。
社員選手は珍しくない花園Lだが、河村は昨年11月に近鉄グループホールディングスのラグビー事業部へ異動。現役選手として初めて、地域との連携にも関わりながら、楕円球を追う日々を送っている。
「地域の人と関わることも多いですが、僕が試合に出ることで『あの選手や』と思ってもらえますから」
ピッチの内外で花園Lを支える男が、真冬の一日に確かな輝きを放った。
(下薗昌記)
花園近鉄ライナーズ

花園近鉄ライナーズの太田春樹監督(左)、ピーター・ウマガ=ジェンセン共同キャプテン
花園近鉄ライナーズ
太田春樹監督
「試合の総括としては、やはりペナルティが多く、日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)さんの強みであるモールの機会を多く与えてしまったことが大きな反省点です。われわれがやりたかったラグビー(の実行について)は前半の立ち上がりこそ非常に良かったのですが、そのあとは試合のペースを取り戻すことができませんでした。結果として、相手に流れを渡してしまった試合だったという印象です」
──今回はスタンドオフに丸山凛太朗選手、フルバックにマニー・リボック選手を起用し、前節から2人のポジションを入れ替えました。その狙いと評価を教えてください。
「10番と15番を入れ替えた理由としては、マニー・リボック選手が合流して間もない中で、われわれのラグビーやスタイルを、後方のフルバックという立場から(力を)発揮し、チームをリードしてもらいたいという狙いがありました。
丸山選手のパフォーマンスについては、決して悪くなかったと感じています。また、この試合ではマニーのキックが非常に大きな影響を与えました。自陣でペナルティを得た場面から、キックで一気に相手ゴール前まで押し込むことができましたが、ああいったプレーは彼の大きな強みです。今後もキックの部分では、引き続きマニーに期待しています」
花園近鉄ライナーズ
ピーター・ウマガ=ジェンセン共同キャプテン
「ゲームを振り返ると、やはり規律の部分が課題でした。規律を守れずにペナルティを重ね、その結果、相手の強みであるセットピースやモールからトライを許したと思います。
一方で、良いアタックができていた場面もありましたが、サポートの寄りが遅く、スコアできるチャンスを逃した場面も多くありました。ディフェンスに関しても、細かな修正点がいくつか出ています。ただ、結果としては勝利できましたし、まずは勝てて良かったと思っています」
──残り30分ほどはクロスゲームになりましたが、試合前に想定していなかったことはありましたか。
「日野RDのアタックは、かなり強度が高く、どんどん前に出てくる展開は正直、想定以上でした。その中でスコアを許したり、ラインブレイクされたりする場面が続き、完全に相手に流れを持っていかれた時間帯がありました。
モールトライをきっかけに相手のエナジーが一気に高まり、マインドセットの部分でも、その勢いに押されてしまったところはあったと思います。われわれも流れを変えなければいけないと感じていましたが、後半に3連続トライを取れたあたりから、ようやく盛り返すことができました。
ただ、全体をとおして見ると、エナジーの部分では試合の入りから相手に上回られていたと感じています。その点は今後に向けての大きな課題だと思います」
日野レッドドルフィンズ

日野レッドドルフィンズの苑田右二ヘッドコーチ(左)、中鹿駿キャプテン
日野レッドドルフィンズ
苑田右二ヘッドコーチ
「本日は年明け最初の試合を、素晴らしい環境の中で行い、非常に良いゲームができたことをうれしく思います。
今節はラウンド3ですが、われわれはラウンド1、ラウンド2と敗戦が続いており、花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)さんの今季のパフォーマンスを見れば、多くの方が花園Lさんの勝利を予想していたと思います。
その中で、われわれもこの2週間しっかりと努力を重ね、花園Lさんを上回るプレーを見せようと準備してきました。今日は誰一人として怯むことなく戦ってくれた選手たちを誇りに思います。
来週日曜日には清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)との試合がありますが、シーズン中でもさらに成長し、今日の試合を無駄にすることなく、次の試合でベストパフォーマンスを発揮できるよう準備していきたいと思います。本日はありがとうございました」
──結果としては3連敗となりましたが、後半に2度逆転するなどポジティブな要素もありました。小島昂選手のトライで逆転したあと、守り切れなかった要因を教えてください。
「粘り強くディフェンスをしてボールを奪い返す場面もありましたが、そのあとのプレー精度の部分で、キックをチャージされるなどアンラッキーな要素も重なり、再逆転を許してしまったと思います。
全体としては、チームとしてやろうとしていることを遂行できるようになってきています。あとは一つひとつの局面でのプレー精度が上がれば、さらに成長し、より良い、エキサイティングなラグビーができると感じています。その点をしっかり修正し、次の試合に臨みたいと思います」
日野レッドドルフィンズ
中鹿駿キャプテン
「今日はこの東大阪市花園ラグビー場で試合ができたことを本当にうれしく思います。前半はフォワードを中心に、モールなど良い形でトライを重ね、良い内容で終えることができました。後半は花園Lさんのプレッシャーを受け、終盤は押し込まれる展開になりましたが、苑田ヘッドコーチが話したとおり、この2週間で積み重ねてきた練習の成果を多く発揮できた試合だったと思います。
来週の江東BS戦に向けて、引き続き努力を重ね、さらに良い試合ができるよう頑張っていきたいと思います。本日はありがとうございました」
──前半や後半の最初の20分間は非常に良いプレーができていましたが、次につながるポジティブな要素について教えてください。
「特にフォワードのセットピース、モールは非常に良かったと思いますし、そこは日野RDの強みになりつつあると感じています。また、ボールを保持し、アタックを継続することにもフォーカスしていますが、その部分も着実にできてきています。さらに精度を高めることができれば、どの相手にも通用すると思います。今日の試合で出たポジティブな部分をしっかり伸ばし、次につなげていきたいと思います」