名古屋競馬所属の宮下瞳調教師(48)は、昨年11月に調教師免許を取得するまで騎手として活躍。地方競馬通算1382勝と国…
名古屋競馬所属の宮下瞳調教師(48)は、昨年11月に調教師免許を取得するまで騎手として活躍。地方競馬通算1382勝と国内女性騎手最多勝記録を保持する。女性騎手として一時代を築き上げてから2か月もたたないうちに厩舎を開業。早くも管理馬を出走させた。競馬人としてスピード感あふれる活動を展開する同師に現在の胸中を聞いた。(取材・構成=松井 中央)
―調教師試験合格発表から約1か月半での開業。準備など大変だったのでは。
「厩舎の修繕や掃除などまだ追いついていないですが、(競馬場の)職員の方などに手伝っていただき、何とか開業できました」
―スタッフは何人ですか。
「今はまだ私と主人だけです。2人で馬に乗り、手入れをし、馬舎の掃除などもしているのでバタバタで。深夜の1時に起きて調教をつけ、その後に子供を学校に送って、時間が足りないです。春には1人スタッフを迎えられたらと思っています」
―開業までの期間に船橋の川島正一調教師の下で研修をされた。
「短い期間でしたが、多くの厩務員の方たちと接させていただき、カイバの量や調整については知らないことが多く、とても勉強になりました。もう少しいたかったです」
―1月3日には管理の馬コパカツが厩舎開業初出走(3着)。どんなお気持ちでしたか。
「騎手の時とは違うドキドキ感で、とにかく人馬とも無事に帰ってきて、という思いが一番でした」
―調教師は騎手に指示などをする側になるが。
「(騎手として)現役の時は指示通りに乗ろうと思うと頭がいっぱいになることもありました。スタートや展開など含め、想定と違うこともあるし、どうしてもという時以外は(騎手に)任せようと思います」
―レースで騎乗できない寂しさは。
「ジョッキーを嫌でやめたわけではないですし、騎乗していた馬がいると、乗りたいなと思っちゃう時はありますね」
―厩舎のセールスポイントや注目してほしいところは。
「見せる仕事ですし、かっこよく奇麗にしてレースへ送り出してあげたい。騎手の時に手入れをされた馬に乗ると気持ち良かったですし。ファンの方にも、かっこいいなと思ってもらいたいです」
―目標や理想とする調教師の方は。
「宇都英樹先生のような馬づくりが理想です。開業当初は苦労されましたが、そこから年々グレードアップされている。特にスタッフが素晴らしい。いいスタッフを集めることの重要さを実感しています」
―調教師は技術だけでなくオーナーとのコミニュケーションなど営業力も問われるが。
「今は声をかけてくださり、馬を引き受けさせていただいているけど、減ってくることもある。その時に自分の厩舎の魅力を伝えられるよう、アピールポイントを早く作りたいです」
―名古屋競馬は若いジョッキーたちの躍進が目覚ましいですが。
「昔は所属騎手が60人ぐらいいて、私も攻め馬でさえ乗せてもらえる機会が少なかった。それに比べると今はたくさん乗せてもらえて、チャンスもいっぱいある。この環境を当たり前と思わず、感謝の気持ちを忘れずに頑張ってほしいです」
―昨年デビューして31勝を挙げた小笠原羚騎手や木之前葵騎手ら女性の活躍も目立ちます。
「名古屋では基本、調教をつけるとレースでも乗せてもらえるので、朝早く起きて、努力次第で乗る機会を増やすことができる。競馬場自体もいい流れになっていて、女性騎手にとってもすごくいい環境だと思います」
―最後に今後の目標を。
「まずはひとつ勝つこと。その積み重ねで、名古屋の重賞を勝ちたいです。ゆくゆくは他場の重賞にもチャレンジしたいですね」
全国の競馬場から精鋭が集結
宮下瞳厩舎には全国の競馬場から精鋭が集まり、初勝利へ向けて着々と調整が進められている。岩手から転入してきたハルノート(牡4歳、父デクラレーションオブウォー)は、伯母にTCK女王盃を制したハルサンサン、いとこにハイセイコー記念を制したスマイルマンボがいる良血馬。宮下調教師は「人懐っこくて、馬体面も悪いところはなく毛づやもいいです。速めの追い切りをした時の反応も良かったです」と上々の評価。13日からの開催で出走予定だ。
リュウノドラゴン(牡4歳父ミッキーグローリー)も岩手からの転入馬。昨年はサファイア賞で3着するなど重賞でも好走歴のある実績馬だ。「おとなしくて乗りやすいし、乗り味もいいです。前回を勝って名古屋にきたので、クラス編成がAクラスとなるので、力関係がどうかですね」(宮下師)。
コパカツ(牡4歳、父コパノリッキー)の伯父は東京記念連覇など重賞4勝のルースリンド。記念すべき宮下瞳厩舎の初出走馬だ。初戦の3着に宮下師は「最内枠は厳しかったですけど頑張ってくれました。前走後も変わりなく来ているし、外めの枠を引ければ、好勝負できると思います」と巻き返しを期す。
◆宮下 瞳(みやした・ひとみ)1977年5月31日生まれ。48歳。95年10月に名古屋競馬場の騎手としてデビュー。結婚、出産を経て2011年に一度は引退するも、16年に復帰し国内女性騎手最多となる地方競馬通算1382勝を記録。女性騎手の第一人者として24年に黄綬褒章を受賞。25年11月に調教師免許試験に合格し、騎手を引退。12月1日付で調教師免許を取得し、26年1月3日に初出走。通算2戦0勝(1月9日現在)。