1月5日からプロ野球新人選手の入寮が始まり、各球団で合同自主トレが行われています。彼ら全員の活躍を期待したいですが、その…
1月5日からプロ野球新人選手の入寮が始まり、各球団で合同自主トレが行われています。彼ら全員の活躍を期待したいですが、その中でも特に思い入れのある選手たちがいます。ロッテ・櫻井 ユウヤ内野手(昌平)、巨人・藤井 健翔内野手(浦和学院)、西武・横田蒼和内野手(山村学園)の3人です。
近年の埼玉は次々と逸材野手が出ており、一昨年にも石塚 裕惺内野手(花咲徳栄-巨人)が世代NO.1内野手として注目されましたが、去年はこの3人がスカウトから注目され、ドラフト候補を中心に追う筆者からすれば面白い地域であります。
今回は昨年の埼玉を盛り上げたスラッガートリオに迫っていきたいと思います。
最終学年に打撃が開花した櫻井ユウヤ
まずはロッテ4位の櫻井選手です。
櫻井選手は1年春から試合に出場し、夏の埼玉大会では2試合連続で本塁打を打ちました。櫻井選手が入学するまでの昌平は22年秋に県大会優勝しており、中央大・齋藤 陽貴捕手、国学院大・金子 晄也外野手を中心とした強力打線でした。そんな打線の中に、いきなりスタメンに加わり、結果を残す櫻井選手は明らかに実力が抜けていました。
櫻井選手をしっかりと公式戦でも追いかけるようになったのは2年春からです。県大会準々決勝・埼玉栄戦ではレフト線へ痛烈な二塁打を見た時、打球速度の速さに驚かされました。前の試合に花咲徳栄・石塚選手が登場していましたが、打者としてのポテンシャルは負けていませんでした。
ただ、櫻井選手も、昌平も苦しい戦いが続きました。2年夏は決勝戦で敗れ、2年秋は3回戦で狭山ケ丘に敗れたことで春の地区予選免除となるベスト8入りを逃します。そして3年春の大会では、初戦で本庄第一に敗れ、夏はノーシード。本庄第一戦で櫻井選手は無安打に終わり、打撃面に苦しんでいる様子でした。それでも早くから公言していた高卒プロを目指し、狙い球の絞り方を工夫し、さらに苦手な守備練習にも取り組みました。
最後の夏は宿敵・花咲徳栄戦を取材しました。この試合は2打数0安打に終わりましたが、春から鍛えてきた守備でピンチを救い勝利に貢献しました。試合後、取材対応した櫻井選手は満面の笑みを見せていました。2年秋、3年春は苦い表情を浮かべる事が多かったので、夏の大会を楽しんでいるなと感じました。最終的に20打数10安打、1本塁打、11打点の大活躍で評価を高めました。この活躍でドラフト前は上位候補という声もあがりました。
迎えたドラフトではロッテから4位指名を受け、SNS上は歓喜の声で溢れていました。桜井選手は『高校野球ドットコム』編集部だけではなく、各報道社の記者からも愛されるキャラクターです。ロッテでも必ずや人気選手になってくれるでしょう。
ドラフト指名後も順調に成長した横田蒼和
西武5位指名の横田選手は2年夏の埼玉大会で20打数12安打と高打率を残し、ドラフト候補として評価を高めました。2年秋は打撃面で伸び悩んだと聞きましたが、3年春の花咲徳栄戦では1安打を記録しましたが、他の選手と比べてもスケールの大きさ、スピード感も別格で、夏もドラフト候補として追跡したいと思いました。
ただ横田選手を指導する岡野 泰崇監督は春季大会終了時点で、ドラフトでの支配下指名は厳しいという評価でした。いかに夏に猛アピール出来るかが高卒プロ指名の分かれ目と考えていました。
横田選手はすり足気味にタイミングを取る打撃フォームに変更したことで、安定感が増し、夏の大会では26打数12安打、2本塁打12打点と大きくアピールに成功しました。ヘッドを走らせて、最短距離で振ることを意識しており、外角だけではなく、内角にも自在にバットが出て、打ち返すことができていました。
左中間にもライナー性の長打を打つことができており、スカウトからも高評価されていました。ドラフトでは西武から5位指名。指名後の11月になぜ指名されたのか、指名に至るまでどんな練習をしてきたのか、じっくりと話を聞くことができましたが、岡野監督はかなり熱意を持って横田選手をサポートしてきたのがわかりました。練習では木製バットでも低い角度ながらも長打性の打球を飛ばし、木製バットにも順応した姿を披露。課題だった守備も想像以上に上達しており、プロの世界でも二遊間を意識できるレベルになってきていました。
西武は二遊間の争いは激しく、同学年に今岡 拓夢内野手(神村学園)、新井 唯斗内野手(八王子)と同い年のショート2人も入団しています。厳しい競争が待っていると思いますが、横田選手はそれを勝ち抜く実力はあると思います。3人とも一軍で活躍する未来を願っています。
根っからの野球好き・藤井健翔
最後は巨人6位の藤井選手です。
藤井選手の名前を聞いたのは、24年春。県大会に備えて、浦和学院の森大監督に注目選手をヒアリングしていた時に、藤井選手の存在を知りました。藤井選手は体格に優れ、センバツ出場校相手に特大本塁打を放ち、スター性を秘めたスラッガーとして紹介してくれました。
残念ながら春は見ることができず、2年夏も守備重視の選手編成になったことで、守備に課題があった藤井選手はベンチ外。
2年秋にようやくパフォーマンスを見ることができました。181センチ100キロのガッシリとした体格は、体格の良い選手が多い浦和学院の選手の中でも際立っていました。初めて見た試合では安打こそありませんでしたが、フライの滞空時間が非常に長く、なかなか打球が落ちないのが魅力でした。滞空時間が長いのはインパクトが強い証拠。この試合だけでスラッガーとしてのポテンシャルの高さを知ることができました。
2年冬に取材を行いました。高卒プロ入りへ向けて守備の猛練習を積んで、打撃もコンタクト力を高めるために自分の打撃フォームを突き詰めていることを話してくれました。最近はプロ野球選手の動画を研究する高校球児は増えていますが、藤井選手もその1人。世間で提唱されている理論については自分の意見を主張する選手でした。
根っからの野球好きで、こういう選手こそ、高卒プロに向いているのかなと思っていました。
そうした取り組みが実を結び、本塁打が急増。3年春の時点では通算24本塁打でしたが、高校通算35本塁打まで伸びました。春の県大会では3本塁打を放ち、県大会後の練習試合でも右中間へ本塁打を打つなど、打撃内容は大きく進化していました。
森監督からも「各球団からの評価は上がっています」と聞いていました。しかし夏の大会では3回戦敗退。あまりアピールできずに終わりました。それでも巨人から6位指名を受けました。取材した筆者も嬉しさというより安堵の気持ちが込み上げてきました。
昨年12月、浦和学院の取材では藤井選手を見かけ、合同自主トレに向けて準備している姿が見られました。
巨人は岡本和真内野手がトロント・ブルージェイズに移籍し、次世代のスラッガー育成が急務になります。巨人の若手には浅野翔吾外野手(高松商)など楽しみな選手がいますが、藤井選手も期待の若手として取り上げられると思います。1年目から二軍戦で大器の片鱗を見せてほしいと思います。
この3人は苦手なことに逃げずに課題を克服し、最終学年にアピールしてプロの世界へ切り開きました。プロで活躍できる素質は秘めていると思います。
プロの世界でも実績を残し、数年後、25年の埼玉スラッガートリオは凄いと言われる存在になることを期待しています。