<フィギュアスケート:日本学生氷上選手権(インカレ)>◇10日◇東京辰巳アイスアリーナ◇女子ショートプログラム(SP)住…

<フィギュアスケート:日本学生氷上選手権(インカレ)>◇10日◇東京辰巳アイスアリーナ◇女子ショートプログラム(SP)

住吉りをん(22=明治大)が涙の再出発を切った。4年間の現役続行表明後では初の競技会に臨み、72・91点で首位発進。全3本のジャンプを軽やかに決め、演技終盤には観衆から自然と拍手が起こった。

フィニッシュ後には感極まり「最後のステップでは観客の方々から温かい何かを感じることができて、それに感動して。なかなか良い演技ができていないことにもどかしさがあったんですけど、感謝の気持ちを込めて滑ることができて、気持ち良かったです」と涙がほおをつたった。

住吉は昨年10月のGPシリーズ第1戦フランス大会で3位に入ったが、26年ミラノ・コルティナオリンピック(五輪)の最終選考会を兼ねた同12月下旬の全日本選手権で18位となり、初の五輪出場はかなわず。去就を表明していなかった中、1週間半後の大みそかに2030年のフランス・アルプス地方開催の冬季五輪を目標に4年間の現役続行を表明した。

全日本では本来の力を発揮できず、直後は「頭が真っ白になった」という。そんな中で口にしていたのが、五輪への思いだった。「頭が真っ白になって、何を考えているのかも分からない中、先生方に『もし私が4年後を目指すとなったら、一緒に目指していただけますか?』と自然と口から出ていて。結局はそれが自分の率直な思いなのかなと思いました」。隣では岡島功治コーチが「りをんがやり切るまで、先生もやめられないよ」と笑顔でうなずいてくれた。

現役続行表明時には、25年2月に61歳だった父ががんのため亡くなったことも公表した。競技継続の期間を「4年間」と定めたのは、亡き父への思いが胸にあるからこそ。「父は私がスケートが楽しいという気持ちを持って、笑顔で滑っている姿を望んでくれているだろうし、そう言ってくれていました。4年間楽しく、自分のやりたいスケートをして、最終的にオリンピックで笑顔で滑る姿を届けられたらなと思います」と思い描いた。

表明から10日。「気持ち的にはやりたいけれど、体がついてこない」と葛藤もあったが、涙ながらにリスタートを切った。「まだどうすれば自分のいつも通りを出せるのか分からなくて、今回の演技ができたから『できます』と言えるわけではない。けれど、何かの足がかりになったかなと思います」と前を向いた。

この再出発を笑顔で思い返す日が来ることを願って、尊い4年間を歩んでいく。【藤塚大輔】