ワールドカップイヤーが始まった。すでに日本代表の三笘薫が「完全復活」を印象づけるゴールを決めるなど朗報が飛び込んできて…

 ワールドカップイヤーが始まった。すでに日本代表の三笘薫が「完全復活」を印象づけるゴールを決めるなど朗報が飛び込んできているが、そのサムライブルーが目標として掲げているのは、ワールドカップ優勝。サッカージャーナリスト大住良之は、そのための「ラストピース」を、若き日本代表の戦いの中に見いだした!

■ロス五輪「出場権」を獲得しても…

 現在サウジアラビアで活動している「U-23日本代表」のメンバーも、全員が2年後の「AFC U-23アジアカップ」の出場資格年齢にあるとはいえ、そしてその大会で2位以内を占めて2028年ロサンゼルスオリンピックの出場権を獲得しても、何人が「U-23日本代表」としてU-23アジアカップやオリンピックの本大会に参加できるか、まったく見通すことはできない。

 今回のU-23アジアカップの初戦、シリア戦で2得点2アシストを記録してチームを勝利に導いたMF佐藤龍之介(FC東京)やキャプテンでCBの市原吏音など、すでに欧州のクラブから目をつけられている選手も少なくない。2028年の時点では、現在サウジアラビアで活動している「U-23日本代表」の半数以上が欧州でプレーしていても不思議はない。

「100人以上のラージグループが必要」と、ロサンゼルスオリンピックに向けたチームを引っぱる大岩剛監督も、そして大岩監督をサポートする立場の日本サッカー協会技術委員会・山本昌邦委員長も口をそろえて言う。クラブに放出義務のないオリンピックに向け、そのときそのときで招集可能なメンバーで戦うしかないというのである。

■感心した日本選手たちの「決定力」

 そうした背景を持ってスタートした「AFC U-23アジアカップ2026」。日本は初戦でシリアと対戦し、5-0で快勝した。前半10分、左サイドの崩しからMF大関友翔(川崎フロンターレ)が先制点。その後も左MFの横山夢樹(セレッソ大阪)を中心に攻撃を仕掛けるものの、なかなかシュートの形はつくれず、逆にシリアにボールを支配されて前半は苦しんだ。

 しかし後半の立ち上がりに右MFに古谷柊介(東京国際大学)を投入、さらにチーム全体に前からボールを奪いにいく姿勢が生まれると、試合は一方的になる。21分、30分とMF佐藤が連続得点して勝利を決定づけると、42分には佐藤のパスを受けた石橋瀬凪(湘南ベルマーレ)が冷静にシュートを決め、さらにアディショナルタイムに石橋へのファウルで得たPKをFW道脇豊(ベフェレン=ベルギー)が決めて5-0とした。道脇は、今大会の日本で唯一の「欧州組」である。

 感心したのは、日本選手たちの「決定力」の高さだった。

 1点目はDF梅木怜(FC今治)のパスでペナルティーエリア左に侵入した佐藤が内側に持ちこみ、エリア内に走り込んできた大関にパス。大関は少し深く入り過ぎ、目の前には2人、3人のシリアDFが立ちふさがったため、シュートコースはないように見えた。しかし慌てずに自分の右にボールを置き、さらに1テンポずらせて相手を動かせ、開いたコースにボールを送り込んだ。Jリーグを1シーズン見ていてもほとんど見ることのない、落ち着いた、そして理にかなった動きとシュートだった。

■非常に高かった「キックの技術」

 佐藤の2得点も、それに負けず見事だった。

 まずは後半21分、185センチの日本の長身センターフォワード、ンワディケウチェブライアン世雄めがけて右から古谷が入れたクロスがこぼれるところに走り込み、左足で正確に右隅に流し込んだ。足を振り抜くのではなく、振りを抑え、パスのようにゴール隅に送り込む技術は尋常ではなかった。

 そして後半30分、相手のクリアが小さくなったところをDF岡部タリクカナイ颯斗が出足よく拾い、ペナルティーエリアの手前にいた佐藤にパス。左回りにターンしながら左足でボールをコントロールしてゴールに向いた佐藤は、左足を真っすぐ振り抜き、ストレートのシュートをゴール左隅に送り込んだ。このキックの技術も、非常に高いものだった。

 さらに後半42分、ペナルティーエリア右の攻略から中央でボールを受けた佐藤は、シュートの構えを見せて相手2人を引きつけ、左にパス。ペナルティーエリア左でボールを受けた石橋が右足のワンタッチでゴール右にシュート。ボールはワンバウンドして左に曲がりながらゴール右隅に決まった。

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