<全国高校サッカー選手権:神村学園1(9PK8)1尚志>◇10日◇準決勝◇MUFG国立7大会ぶり3度目の準決勝に挑んだ尚…

<全国高校サッカー選手権:神村学園1(9PK8)1尚志>◇10日◇準決勝◇MUFG国立

7大会ぶり3度目の準決勝に挑んだ尚志(福島)が、県勢悲願となる決勝進出を逃した。昨夏の全国高校総体(インターハイ)王者の神村学園(鹿児島)に1-1でのPK戦の末、8-9で敗戦。前半5分、大会初先発のFW岡大輝(3年)が先制ゴールを決めたが、後半28分に同点弾を許した。両チーム20人による死闘のPK戦は10人目の主将DF西村圭人(3年)がゴールを外し、力尽きた。

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尚志の西村が、左足で振り抜いたボールはゴールポストにはじかれた。「僕たちの3年間が終わってしまった…」。両校20選手に及んだ死闘に終止符が打たれると、西村は頭を抱えて、そのまま芝に突っ伏した。

福島県勢初の決勝切符が手からこぼれ落ちた。仲村浩二監督(53)は「やりたかったサッカーは全てできた。ただ、もう1点が取れなかった」と悔やんだ。相手は昨年8月のインターハイ準決勝で逆転負けを喫した神村学園。3トップに対し、4バックを並べてカウンターを仕掛けるプランで勝機をうかがった。

前半5分、FW根木が右サイドのライン際から左クロスを上げる。試合前、根木から「待っとけよ」と言われたのは今大会初先発の岡。「しっかり意識してゴール前に飛び込もうという気持ちがあった」。憧れの岡崎慎司氏の代名詞であるダイビングヘッドで先制ゴール。夏の全国覇者相手に見せ場をつくった。

昨夏、地元開催だったインハイ準決勝で栄冠を譲った。チームは戦術、体力、メンタルとあらゆる面を見直してきたという。持ち味のパスサッカーを最大限引き出すため、メンバーそれぞれ課題に取り組んだ。選択肢の幅を広げようと根木が1対1での突破力にこだわれば、寮長の岡は部員たちに「飯、食えよ」と徹底した食トレを呼びかけた。

しかし、待ちに待った因縁の相手との対決は後半に追いつかれ、PK戦に。毎日5本のPK練習を課していたキャプテンの一蹴りは報われなかった。紙一重の勝負には敗れた。しかし、夏の屈辱から再び冬の国立まで駆け上がった成長過程は決して色あせない。

「胸を張って帰ろう」-。夏の全国覇者に肉薄し、過去2度の最高成績に並ぶ健闘を見せた尚志イレブンに涙はなかった。西村はこう締めくくった。「あの夏の負けがなかったら、今の自分たちはいない。あの負けが自分たちの原動力だった」。【泉光太郎】