桐蔭学園は長尾らのトライで京都成章を下した(C)産経新聞社 第105回全国高校ラグビー大会の決勝が1月7日に、神奈川代表…

桐蔭学園は長尾らのトライで京都成章を下した(C)産経新聞社
第105回全国高校ラグビー大会の決勝が1月7日に、神奈川代表の桐蔭学園と京都代表の京都成章の間で行われ、36-15で桐蔭学園が勝利した。桐蔭学園は通算6回目の優勝で103回大会からの連覇を3に伸ばした。京都成章は100回大会以来2度目の決勝進出だったが、その時と同じ桐蔭学園に初優勝を阻まれた。
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決勝戦にふさわしい、息詰まる熱戦だった。「ピラニアタックル」の異名を持つ京都成章の強力ディフェンスと、正確無比なラックでボールを保持し続ける桐蔭学園。両チームともに一歩も引かない濃密なブレイクダウンが60分間展開され続けた。
キックオフから10数分は桐蔭が敵陣内で攻め続ける展開だったが、京都成章は持ち前の粘り強いタックルと密集参加プレーヤーの素早いリロードで凌ぎきった。そして14分過ぎにはマイボールラインアウトからの展開で一気にトライを奪って先制した。高校日本代表候補の森岡悠良、髙萩誠人の両CTBを囮にし、本来ならファーストレシーバーとなるSO岡元聡志がエキストラマンとなって大幅にゲイン、最後はWTB篠颯太郎が仕留めるという見事なサインプレーだった。
押しに押していながら、一発のチャンスでトライを取られてしまった桐蔭だったが、全くめげていなかった。京都成章のしぶといディフェンスには手を焼いていたものの、決して自分たちの攻撃が封じ込められていたわけではなく、わずかではあったがブレイクダウンでは優勢さを保っていた。
このまま自分たちのプレーを続けていれば必ずチャンスは訪れるとの確信があったようだ。大阪桐蔭との準決勝で、ロスタイムに入ってから、強力でミスのないピック&ゴーを繰り返して逆転勝ちを収めた経験がもたらした確信だったのだろう。リスタート後も徒に焦って一か八かのリスクの高いプレーに走ることなく、自分たちの強みである接点でのコンテストに注力し、確実に前進して敵トライラインに迫り、数的有利を作り出して、FB曽我大和がトライを奪ってすぐさま試合を振り出しに戻した。前半はこのまま5-5で終了。
後半に入ると、桐蔭が躍動し始めた。前半からのプレッシャーがフィジカル的にも心理的にも京都成章を守勢に追い込んだ。4分にNo.8の足立佳樹のラインブレイクから、ラックを連取し、最後はトライライン前の混戦から足立が押し込んでトライ。その2分後には、パントキックを追いかけたWTB鈴木豪のキックチャージから素早い展開で連続トライを奪った。それまでの京都成章なら仲間の素早い集散を信じて、ボールをキャッチしたプレーヤーがカウンターアタックに出てもおかしくない状況だったが、桐蔭のプレッシャーの強さを恐れたが故のキックがチャージを喰らい、トライを奪われてしまった。
桐蔭は14分にもSO竹山史人がキックチャージからのトライを奪ったが、このトライも強力なブレイクダウンで京都成章に手詰まりを感じさせ、キックで逃げざるを得ない状況を作り上げたからこそのトライだった。
この時点でスコアは26-5。一気に桐蔭に流れが傾いてもおかしくなかったが、京都成章は諦めなかった。桐蔭のお株を奪うように、ブレイクダウンで前進し、最後は数的優位を作り出してWTB篠がこの日2本目のトライを奪い26-10と追いすがる。その後、桐蔭は曽我がDGを決めて29-10とするが、ここでもまだ京都成章の反撃の火は消えなかった。26分に相手トライライン前5メートルのラインアウトからピック&ゴーを繰り返し最後はHO米本啓太朗がねじ込んだ。相手のストロングポイントに挑み、堂々とそれをぶち破ったトライに京都成章の矜持を感じた。
試合は終了間際に桐蔭が1トライ1ゴールを加え、最終スコアは36-15。点差こそ開いてしまったが、両チームともに持ち味を遺憾なく発揮し、すべてを出し切った見事な戦いだった。
桐蔭学園は通算6度目の優勝で天理、東福岡と肩を並べ歴代4位となった。来季は啓光学園(現常翔啓光学園)以来の4連覇を目指すこととなる。毎年、前年の踏襲はせず、ゼロベースから作り直すという藤原秀之監督がどんなチームを作り上げて花園に戻ってくるのか、今から楽しみだ。
[文:江良与一]
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