レッドブルの他チームとは異なる内部事情を明かしたペレス(C)Getty Imagesレッドブルの異常なヒエラルキー 飛躍…

レッドブルの他チームとは異なる内部事情を明かしたペレス(C)Getty Images

レッドブルの異常なヒエラルキー

 飛躍を期待された角田裕毅(レッドブル)のテスト兼リザーブドライバーへの“配置転換”は、師走の列島に無念さを痛感させた。

 開幕3戦目の日本GPからレッドブルに緊急昇格し、「偉才」マックス・フェルスタッペンの相棒として戦い抜いた25歳だったが、シーズンを通して獲得したのは、わずか33ポイント。首脳陣の満足のいく結果を残せずに、レッドブルはおろか、姉妹チームのレーシングブルズのレギュラーシートも追われた。

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 もっとも、角田がF1キャリアを断たれたのは、本人の素養だけが問題ではなかったのかもしれない。その事実を示すような証言を展開したのは、2021年から24年シーズンまで、レッドブルのセカンドドライバーとして在籍していたセルジオ・ペレスだ。

 メキシコの起業家オソ・トラバ氏のポッドキャスト番組に出演した35歳の名ドライバーは、フェルスタッペンを絶対軸とするチームヒエラルキーによって「レッドブルは極めて難しいチームになっている」と指摘。「そもそもマックスのチームメイトになるということがとてつもなく難しいのに、『レッドブルでマックスの隣に座る』というのは、F1界で間違いなく最も過酷な仕事だ」と断言。セカンドドライバーとしての“苦悩”を赤裸々に告白している。

「次第にプレッシャーが強まってくるんだ。すべてにおいて、ね。『コマーシャル(広告撮影)が多すぎる』とか『集中力が欠けている』とかね。とにかく、ありとあらゆる理由で突っ込まれるんだ。レッドブルの中では、僕が速すぎても問題になるし、逆に遅くても問題になる。

 例えば、マックスより速ければチーム内の空気は張り詰め、マックスより遅ければ、『お前はすべての元凶だ』と責められる。もう何をやっても正解なんてない構造なんだよ。ただ、そこで多くのことを学んだ。置かれた状況に文句を言うのではなく、できる限り最善を尽くし、そこから最大限を引き出さなければならない」

 何をやっても正解がいない――。仮に角田も同じ環境下での走行を求められたのだとしたら、その苦悩は想像に難くない。

「優秀なドライバーを“腰を据えて育てる”という気なんてない」

 さらに「マシンが何をするか分からないという恐怖を抱えながら、時速300km以上で走るのは地獄だ。しかも、そういう状況なのにチームが味方をしてくれない。これに耐えられるのは、かなり強靭なメンタルを持った人間だけだ」と漏らしたペレスは、こうも続けている。

「僕はクリスチャン(・ホーナー前代表)に別れ際に訊いたんだ。『もしも、リアム(・ローソン)が上手くいかなかったらどうするつもりだ?」と。すると、すぐに彼は『ユウキ(角田裕毅)がいる』と言った。僕はさらに突っ込んだ。『それでも上手くいかなかったら? 最後は候補者全員を使い潰すことになるよ』と確信を持って訊いた。

 そしたら彼は『ああ、そんなことは分かっている』と認めていた。つまりそれがレッドブルのシステムなんだ。優秀なドライバーを“腰を据えて育てる”という気なんてないし、フェルスタッペンのために、ダメなら次、また次と、スペアパーツのように取り替えていくんだ』

 当時の自分自身を「(批判を受ける)避雷針のようだった」と振り返るペレスは、「レッドブルでの挑戦が終わった時、悲しさや不安はもちろんあったけど、魂のより深いところでは『これで良いんだ』と納得していた」と語った。

 ペレスとは異なり、いわば裏方としてレッドブルに残る角田。その心境は、いかなるものなのだろうか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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