FC町田ゼルビアの原靖フットボールダイレクター(FD)が、新シーズンに向かうチームの強化方針について持論を展開した。7日…

FC町田ゼルビアの原靖フットボールダイレクター(FD)が、新シーズンに向かうチームの強化方針について持論を展開した。

7日、新体制発表会見「キックオフミーティング」を終えた。しかし現時点で新たに獲得している選手は神村学園高FW徳村楓太(18)1人だけだった。

FWエリキ、バスケス・バイロンが期限満了で復帰してきたとはいえ、逆に最前線に立つオーストラリア代表FWミッチェル・デューク、韓国代表FWオ・セフンの2人が移籍で抜けた。これまで町田と言えば、毎年のように実力ある選手たちを集めてきただけに、意外な状況となっている。

今冬の移籍期間は4月8日までと、従来よりも長い。また、半期の特別シーズンということもあり、原FDはさまざまな考えを巡らせている。

J2から昇格して3年目を迎えるが、J2時代の選手は下田北斗だけ。それだけ大きく選手を入れ替えてきたことを踏まえ「ここからはチーム力、集団で既存の選手たちで何かをやっていくことに目を向けていきた。この6カ月をどう使うかということで、今いる選手たちに期待しています」。

ワールドカップ(W杯)を目指せるFW相馬勇紀やDF望月ヘンリー海輝に加え、FW藤尾翔太、MF西村拓真、DF中山雄太、昌子源、岡村大八、GK谷晃生ら実力派選手がそろう。それだけにこう話した。

「どういう選手に行くべきか、判断できる時期に来ている。3年間はとにかくいい選手を取ろうという感覚でいたが、今は随分選手がそろってきた。この半年に向かう中で、市場自体にも動きがない。S、A、B、CでSじゃないBに行くのかということも考えたり、Aの選手をSに持って行くように取りに行くのか、それだったらいる選手を鍛えて開発した方がいいんじゃないかとか、議論ができる時期にきたというか。そういうことも重視しながら。26年W杯終了後も考えたら、(欧州から)日本に帰ってくる選手がどれくらいいるかは別にして、そこのお金も一緒にかかりますから、どこでそういうことをやっていくのか、クラブ内で検討してます」

ここで言う「S」クラスは、相馬や中山のような日本代表レベルのことを指している。

特別大会の明治安田J1百年構想リーグだけでなく、アジアチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)もある。目指すはアジアの頂点だけにFWを中心に「足らない部分」の補強を考えている。

ただ「語弊があるかもしれないが、悪手は打ちたくない。拙速に、今いる選手より同等以下の選手を取りに行こうとは思わない」と強調する。秋春制のシーズン移行に向かう夏の移籍市場へ、じっくりと現有戦力と補強資金、そしてタイミングを見極めているようだ。

原FDはメディア対応を終えるとその去り際、意味深に何か言葉を口にした。

ロープ…?

「ロープ・ア・ドープ(Roap a dope)」だった。

それは伝説のボクサー、モハメド・アリが起こした「キンシャサの奇跡」(1974年)と呼ばれた歴史的名勝負で、王者ジョージ・フォアマンを相手に見せた戦い方のことか? アリはロープを背に、フォアマンの強打を受け続けた。言うならば“死んだふり作戦”。相手を消耗させたところで、終盤の劇的な大逆転勝利へとつなげた。

今オフ静かな町田だが、“大逆転”への秘策でもあるということなのだろうか。その動向が気になる。【佐藤隆志】