ワールドカップイヤーがスタートした! 開幕は6月だが、すでに戦いは始まっている。グループステージ第2戦で戦うチュニジア…

 ワールドカップイヤーがスタートした! 開幕は6月だが、すでに戦いは始まっている。グループステージ第2戦で戦うチュニジアなど対戦国の「W杯予選」や「最新試合」を、サッカージャーナリスト後藤健生が徹底分析。サッカー日本代表が勝ち進む道を探る!

■アフリカ諸国は「アジア諸国」以上!

 12月22日発表のFIFAランキングでは、オランダの7位、日本の18位に対して、チュニジアは41位。ランキングだけでなく、今回のアフリカ選手権での戦いぶりを見ても、日本の実力が上なのは間違いない(ちなみに、プレーオフを争っているポーランドは31位、スウェーデンは43位)。

 12月5日のワールドカップ組分け抽選会で対戦相手に決まったとき、チュニジアについても「警戒論」が飛び交った。その根拠は「アフリカ予選で無失点」という情報だった。

 アフリカといえば、1990年代にカメルーンやナイジェリアなど西アフリカ勢が躍進し、「ヨーロッパ、南米の両大陸以外でワールドカップで優勝するのはアフリカ」と言われていたものだ。

 1990年イタリア大会では、開幕戦でカメルーンが前回王者のアルゼンチンを倒して準々決勝まで勝ち上がり、1994年のアメリカ大会でもナイジェリアがグループリーグでアルゼンチンを抑えて首位通過、イタリアには敗れたものの、躍進を感じさせた。

 最近はアフリカ勢もそれほどのインパクトを残せずにいたが、前回2022年のカタール大会では北アフリカのモロッコがベスト4進出を決めた。

 いずれにしても、アフリカ諸国はアジア諸国以上の実績があるのだ。

■予選無失点を生んだ「大きなトリック」

 そのアフリカ予選を無失点で勝ち上がったのが事実だとしたら、これは当然「警戒すべき相手」ということになる。

 だが、この「アフリカ予選で無失点」という情報には大きなトリックがあった。というのは、アフリカ予選の仕組みはアジア予選とは違っていたからだ。

 アフリカ予選では、まず、6チームずつ9グループ(グループAからI)に分かれて、ホーム&アウェイの1次予選が行われた。そして、各グループの首位の9チームにワールドカップ出場権が与えられ、各グループ2位のうち成績上位4チームによるプレーオフを勝ち抜いたコンゴ民主共和国が大陸間プレーオフに回った。

 一方、アジア予選では4チームずつ9グループに分かれて2次予選が行われた。ランクの低い国同士で1次予選が行われたため、「2次」と呼ばれているが、これはアフリカ予選の「1次」予選に相当するものだ。

 日本代表はその「2次」予選では北朝鮮、シリア、ミャンマーと戦って(北朝鮮とのホームゲームは不戦勝)6戦全勝、得点24失点0で首位通過を決めた。

 ただ、アジア予選では各グループ上位2チーム、合計18チームが3グループに分かれて「3次」予選が行われた。つまり、そこで強豪国同士の戦いがあったのだ。

 だが、アフリカ予選では9つのグループ首位の国はそのまま予選突破となって、強豪国とは戦っていないのだ。

■信じられないような「くじ運」の良さ

 チュニジアは「1次」予選グループHに入って9勝1分、得点22失点0で首位となってワールドカップ出場を決めた。

「1次」予選の組分け抽選は2023年7月に行われた。ワールドカップの抽選と同じようにFIFAランキングによって各ポットに9チームずつ6つのポットに分けられ、チュニジアはポット1の上から3番目にランクされた。そして、抽選の結果、チュニジアはポット2最下位の赤道ギニア、ポット3の下から2番目のナミビア、ポット4の下から2番目のマラウィ、さらにポット5最下位のリベリアと一緒のグループに入った。信じられないような、くじ運の良さだった。

 こうした事実を考えれば、「アフリカ予選無失点」という情報はほとんど意味のないものだったことが分かる。

 日本のサッカー・メディアは、一方で日本代表森保一監督の「目標は優勝」という発言を取り上げて、まるで優勝が現実的であるかのような楽観的な報道を行うが、その一方で「アフリカ予選無失点」のような情報を取り上げて、盛んに危機感を煽ろうとする。

 もし、「優勝」が現実的な目標であるとするなら、チュニジア程度のチームを危険視する必要はまったくない。逆に、もしチュニジアを「要警戒」とするなら、「優勝」にはまったく実現性がないと言わざるを得ない。

 つまり、グループリーグ2戦目のチュニジア戦は確実に勝点3を狙うべき試合なのだ。

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