◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」 競馬への関わり方は十人十色。元騎手の藤井勘一郎さんは、唯一無二のキャリアを歩んでい…

◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 競馬への関わり方は十人十色。元騎手の藤井勘一郎さんは、唯一無二のキャリアを歩んでいる。22年4月の落馬事故で第4胸椎脱臼骨折の大けがを負い、24年2月に引退。胸から下にまひが残り、車いすで生活する。懸命にリハビリを続け、海外にも一人で行くなど精力的に活動する姿には、いつも勇気をもらえる。

 藤井さんは昨年3月から、同月に開業した栗東・井上厩舎のマネジャーを務めている。井上調教師は、豪州の競馬学校に通っていた16歳からの旧友。藤井さんは自身の立場を「調教師と厩舎スタッフの間」と説明する。

 主な業務は管理馬に関する情報の記録。スタッフ一人一人から馬の様子、体調を聞き取る。いつも持ち歩くタブレットで作成された資料には、一頭ずつの調教内容や状態が丁寧に記されている。「馬に接する上で『感覚』は大切ですが、『記録に残して過去の失敗を生かすこと』も重要、と井上先生から任されています」。スタッフが本音を話しやすい雰囲気を作ることも心がけている。

 勝利が一番の任務だった騎手時代。今は過程の重要性も実感するという。「1頭の馬に関わるさまざまな立場の『職人の技』を間近で見られたら、それはお金では買えない経験ですよね」。この世界に入って26年。「競馬を違う観点から見て、さらに好きになれます」と発見は尽きない。

 藤井さんと話すと「できないことはない」と思わせられる。騎手引退後の第2章の挑戦を、これからも応援したい。(中央競馬担当・水納 愛美)

 ◆水納 愛美(みずのう・まなみ)21年4月入社。同年9月から現職。