『高校野球ドットコム』では多くの中学野球の現場を訪れ、たくさんの球児たちを取材してきた。その中で、数年後の高校野球の主役…

『高校野球ドットコム』では多くの中学野球の現場を訪れ、たくさんの球児たちを取材してきた。その中で、数年後の高校野球の主役になる可能性を秘めた「次代を担う球児」たちにインタビューを敢行。第11回は、上一色中学の昆野央宙(ちかと)投手だ。

 中学軟式球界において、全国区の名門校として知られている上一色中。全国制覇の戦績はもちろん、ロッテ・横山 陸人投手ら逸材も輩出するなど、輝かしい実績を残しているチームだ。

 この夏、横浜スタジアムで開催された第42回全日本少年軟式野球大会ENEOSトーナメントではベスト8進出。「中学生の甲子園」と呼ばれる全国大会で結果を残したが、主将でエースの昆野選手は大粒の涙を流して、悔しさを露にしていた。

 「チームの持ち味であるバッティングを発揮できませんでした。ですが、粘り強く戦えたので、延長8回タイブレークの良い試合が出来た。そこは成長に繋がったと思います」

 準々決勝の相陽クラブとの試合、あと1本を出せずに1点にとどまった上一色中。昆野は悔しさを押し殺しつつ、次への成長に繋げることを誓った。

 4月に逝去した西尾弘幸元監督を慕い、上一色中の門をたたいた昆野。投げては最速128キロ、打っては中学通算3本塁打。そして主将と、文字通り大黒柱として、全国ベスト8までチームを導いた。

 心の支えとなり、これからも大事にしていきたいと語ったのは、西尾先生の教えだった。

 「チャンスの時、ピンチの時こそ気持ちを強く、心を燃やして、気持ちでどうにかしてやることを教わりました。西尾先生からも『ピッチャーと一対一をしてこい!打ってこい!』ということを教えてくださいました。
 今後の舞台でも、ピンチやチャンスの場面こそ自分のプレーが発揮されると思うので、絶対に生きてくると思います」

 最後の夏、つかみ損ねた全国制覇は高校野球で目指す。「最後はこの仲間、監督とできたこと、出会えたことに感謝して、甲子園でまた戦えたらいいなと思います」と聖地で、今度はライバルとして再会したいと誓った。

 亡き名将の教えを胸に刻んで高校野球の舞台へ。昆野が叶えられなかった日本一を掴む瞬間が訪れることを心から待ちたい。