関東大学対抗戦では明治が勝利したが果たして(C)産経新聞社 1月2日に第62回全国ラグビー大学選手権大会の準決勝2試合が…

関東大学対抗戦では明治が勝利したが果たして(C)産経新聞社

 1月2日に第62回全国ラグビー大学選手権大会の準決勝2試合が行われ、早稲田と明治が勝利し、決勝戦への切符を手にした。両学は、関東大学ラグビー対抗戦Aグループ最終戦での激突以来の再戦となる。

【動画】ロスタイムのPGで劇的な逆転勝ち!25-23で接戦を制したジョージア戦のハイライトを見る

 準決勝の第一試合は早稲田vs帝京。春季大会こそ早稲田が競り勝ったものの、夏合宿、対抗戦ではいずれも帝京が勝利している。特に対抗戦での対戦は、接点でのコンテストに注力することで、早稲田の素早い展開を封じた帝京の作戦勝ちだった。

 また、昨シーズンも、大学選手権決勝までに強力なチームを作り上げ、対抗戦で大敗した早稲田にリベンジして優勝を飾るなど、シーズンが深まるとともにチーム力を向上させるのも帝京の特色であり、拮抗した試合が予想された。

 試合は先制トライこそ早稲田が奪ったものの、帝京はすぐさま2トライを取り返して逆転。早稲田は外への展開を志向するあまり、密集近辺に穴が空きやすい。しかもディフェンスに回ってくるプレーヤーには強烈なタックルがないということを帝京は見切っていた。その上で、パワーランナーを使って奪った二つのトライだった。

 しかし、その後は早稲田ペース。帝京は、素早い展開に持ち込まれてしまい、ボールのポゼッション、テリトリーともに大きく遅れをとった。接点でフィジカルの強さを全面に出してコンテストし、球出しを遅らせ、あわよくばボールを奪って逆襲するという帝京の意図はなかなか実現できなかった。無理に早稲田の球出しを遅らせようとして反則を犯してしまう場面も多々見られた。それでも、強いフィジカルに裏打ちされたディフェンスは強力で、試合は一方的なものにはならなかった。最後の最後、4人のディフェンスに囲まれながらも途中出場のFL甲斐敬心が奪ったトライに、帝京の最後まで諦めない執念と4連覇中の王者の矜持を見た。しかし反撃も及ばず最終スコアは31-21で早稲田の勝利。

 第二試合は明治vs京都産業。大学選手権七不思議の一つに、京産がベスト4の壁を一度も超えられていないというものがある。大学ラグビー界屈指の猛練習で知られる同学だが、どうしてもその壁を敗れていない。

 相手は関東大学対抗戦Aグループの王者であり、夏合宿での対戦では67-24の大差で敗れている明治。夏合宿の試合では唯一、明治相手に奮戦し、守備陣を真っ向から突破していたNo.8シオネ・ポルテネをどこまで活かす試合展開に持ち込めるかが勝負の焦点だった。

 明治は対抗戦初戦で筑波相手に取りこぼしたものの、それ以外は今シーズンはほぼ磐石の戦いぶり。伝統の重戦車FWに機動力が加わり、BK陣もスピード、力強さを兼ね備えた決定力あるプレーヤーが揃った。

 試合はFWのパワーを遺憾無く発揮した明治がゴール前でのピックゴーを繰り返して先制。しかし、その直後、京産はラインアウトからポルテレを囮に使い、明治の想定とは逆方向にパスを繋いでWTBエロニ・ナブラギがゴール中央にトライ。たちまち同点に追いつく。

 しかしここからは終始明治ペースで試合が進んだ。ポルテレ、ナブラギ、LO石橋チューカといったパワーランナーに球が回る前に、京産の攻撃を寸断し、パワーランナーにボールが渡っても、2人から3人でオフロードパスも投げられないよう、強烈なタックルを見舞った。夏合宿での反省点を活かした見事なディフェンスだった。

 さらにこの試合、明治としては「珍しく」ミスが少なかった。突進時や密集などで、ボールをポロリとこぼしてしまう脇の甘さから、逆襲を喰らって度々痛い目にあってきたのが明治というチームだったのだが、この試合ではそうしたシーンがほぼなかった。元々実力あるチームが、弱点だったミスの多さを克服すれば、それは強いチームとなるだろう。

 京産は後半の後半になってようやくポルテレの個人技が爆発してトライを1本奪い、終了間際にもキックオフからのノーホイッスルトライを奪ったが、反撃もそこまで。37-19で明治が勝利した。京産はベスト4超えのチャレンジにまたも失敗した。ここを突き抜けるには一体何が足りないのか。首脳陣が来シーズンに向けどのような修練を選手に課すのかに注目したい。

 この2試合の結果、決勝は明治と早稲田の再戦となった。大学選手権での両学の対戦成績は明治の9勝7敗。決勝戦に限っても7勝3敗と明治が勝ち越している。先述の通り、今シーズン明治は早稲田に3戦負けなしと圧倒している。しかし、早稲田は、大学選手権でより多くの強豪と戦ったことで、対抗戦時よりもチーム力が上がっている上、早明両学の対戦には独特の雰囲気があり、今シーズンの今までの対戦成績はあまり当てにならないだろう。

 今シーズンの対戦は久々に、往年の「パワフルにタテを突く明治、スピーディーにワイドな展開を志向する早稲田」という構図の一戦となりそうだ。

[文:江良与一]

【関連記事】執念の守備と「ここぞ」の重戦車出撃 明治が宿敵・早稲田を破り5季ぶりV 「前へ」の魂でつかんだ19度目の対抗戦制覇

【関連記事】【エディージャパン検証】南アフリカに61失点の現実 完敗の中で見えた“光と影”

【関連記事】【エディージャパン検証】豪州を追い詰めながらも勝利を逃した──ジャパンに足りなかった「あと一歩」とは?