今秋も神宮大会を制した精鋭軍団の青山学院大。その強さの秘訣とは(C)産経新聞社史上3校目の東都大学リーグ6連覇 現在の大…

今秋も神宮大会を制した精鋭軍団の青山学院大。その強さの秘訣とは(C)産経新聞社

史上3校目の東都大学リーグ6連覇

 現在の大学野球において最強チームと言えば、誰もが口を揃えて青山学院大だと答えるはずだ。過去3年間のリーグ戦と全国大会の成績を改めてまとめてみると以下のようになっている。

【画像】押さえておきたい「ドラフトの目玉」たちを厳選! 注目選手の写真&寸評を一挙紹介

2023年春:リーグ戦優勝 大学選手権優勝
2023年秋:リーグ戦優勝 明治神宮大会準優勝
2024年春:リーグ戦優勝 大学選手権優勝
2024年秋:リーグ戦優勝 明治神宮大会優勝
2025年春:リーグ戦優勝 大学選手権ベスト4
2025年秋:リーグ戦優勝 明治神宮大会優勝

 所属している東都大学野球連盟は全国で最もレベルが高いリーグであり、6連覇は専修大(1939年春~1941年秋)と亜細亜大(2011年秋~2014年春)に次ぐ史上3校目の快挙である。また全国大会でも大学選手権、明治神宮大会ともに連覇を達成した大学はあるが、春も秋も3年続けてここまで上位に進出したチームはない。過去3年の公式戦の勝敗は73勝20敗で、勝率は実に.785となる。東都大学野球一部と全国大会で常にレベルの高いチームと戦いながらこの数字は驚異的と言えるだろう。

 そして青山学院大の凄さはこれだけではない。この3年間に多くの選手をNPBにも輩出しているのだ。過去3年にドラフト指名を受けた選手をまとめると以下のような顔ぶれとなっている

2023年:常広羽也斗(広島1位) 下村海翔(阪神1位) 中島大輔(楽天6位)
2024年:西川史礁(ロッテ1位) 佐々木泰(広島1位)
2025年:中西聖輝(中日1位) 小田康一郎(DeNA1位)

 7人のうち実に6人がドラフト1位という高い評価でプロ入りしている。ちなみに3年連続複数の選手がドラフト1位で指名されたというのも史上初めてのことである。

 さらに2026年も「大学ナンバーワン投手」の呼び声が高い鈴木泰成(東海大菅生)と、1年春から正捕手として活躍し続けている渡部海(智弁和歌山)の2人が控えており、4年連続で複数の選手がドラフト1位指名を受ける可能性も高い。

 ドラフト1位で指名されるような選手が多くいるのだから、勝てるのは当たり前という声もあるかもしれない。だが、試合での勝利とNPBへの選手輩出を、これほど高いレベルで両立しているチームは過去にも見当たらない。現在の青山学院大が大学野球の歴史に残るチームであることは間違いないだろう。

高校時代は「無名」も“磨けば光る”好素材をスカウト

 では、そんな青山学院大の強さの理由はどこにあるのだろうか。まず大きいのが的確なスカウティングである。この3年間でプロ入りした選手を見ても、高校時代にプロ志望届を提出すれば間違いなく指名されていたという選手は佐々木くらいで、常広や西川は全国的には無名の存在だった。

 ただ、どの選手も将来性が高く、成長すれば面白い存在になるという選手たちばかりだったことは確かだ。そういった“磨けば光る”好素材をしっかり獲得している印象が強い。

 4月に入学する予定の新1年生もU18侍ジャパン候補で、投打二刀流もこなす高いポテンシャルを誇る新井瑛太(滝川)、いずれも150キロに迫るスピードを誇る本格派右腕の宮口龍斗(智弁和歌山)、山田玲(浜田)、野手も下級生の頃からチームの中心として活躍している能美誠也(星稜・捕手)、金本貫汰(東海大相模・一塁手)、橋本友樹(報徳学園・遊撃手)など実力者が揃っている。

 ただ、力のある選手は当然他の大学や社会人はもちろん、NPB球団も狙っており、獲得するのは簡単ではない。そんな中で青山学院大が選手に選ばれる理由として、NPB球団のあるスカウトはこう話してくれた。

「青山学院大が高校生に人気になっている理由としては少数精鋭というやり方が大きいと思います。他の大学では4学年合わせて200人近くいるチームもありますが、青山学院大は1学年あたり10人弱しか選手を獲りません。そのため力があれば1年生からすぐにリーグ戦でも起用されます。その中であれだけ毎年ドラフト指名を受けているということがさらに人気に拍車をかけているのではないでしょうか。

 あとは安藤監督をはじめ、スカウティングの動きが早いですね。高校生でも1年秋に良ければ既にアプローチしているという話もよく聞きます。獲れる選手が少ないからこそ、より厳選しているというのもあると思います」

 3月に行われる選抜高校野球の出場が確実視されている強打者についても、青山学院大が早くから接触しているという噂を聞いたこともある。NPB球団のスカウトが本格的な調査に動き出した頃には既に進学先が決まっていることも少なくないというが、青山学院大は、その中でも有望な選手へのアプローチがより早いことは確かだろう。

 ただ、将来性の高い選手を獲得しただけで勝てるほど野球は簡単なものではない。前述したように高校時代は盤石なドラフト候補ではなかった選手を4年間でしっかり成長させている育成力も青山学院大の大きな強みとなっているのだ。前出のスカウトはこう話す。

「早い時は早朝5時台から練習をしています。だから我々スカウトも練習を見に行こうとすると始発の電車でも間に合わず、前日に近くに宿泊する必要があるほどです。全体練習の時間は決して長くはないのですが、早朝に始まる練習でも全員がしっかり集中しているのがよく分かりますね。このあたりは安藤監督やコーチの手腕だと思います。

 あと、人数は少ないですが競争は激しいので、試合に出るためにいろんなポジションに挑戦している選手も多い。レギュラーメンバーや打順もそこまで固定されていません。誰にでもチャンスがある環境を作って、ポジションの高い選手たちで競わせるという循環が上手くいっているのだと思います」

 2025年にロッテで新人王に輝いた西川も高校時代は内野手だったが、2年生まではリーグ戦でほとんど結果を残せず、外野にコンバートされてから才能を開花させている。また新チームでエースとして期待される鈴木も高校時代に肘の故障歴があり、まずはリリーフで登板して力をつけていった。選手の能力を伸ばしながら適性を見極め、より高いレベルに導く指導と環境があると言えそうだ。

 このまま青山学院大の時代が続くのか、それに待ったをかけるチームが出てくるのか。2026年の大学球界において最大の注目ポイントとなりそうだ。

[文:西尾典文]

【著者プロフィール】

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。

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