大谷翔平の2025年「すごかった試合」ベスト7(前編) 2025年の大谷翔平(ロサンゼルス・ドジャース)は、レギュラーシ…

大谷翔平の2025年「すごかった試合」ベスト7(前編)

 2025年の大谷翔平(ロサンゼルス・ドジャース)は、レギュラーシーズンの158試合とポストシーズンの17試合に出場した。2021年、2023年、2024年と同じく満票でリーグMVPを受賞。通算4度の満票受賞はメジャー史上初の快挙で、2025年はそれに加えてリーグチャンピオンシップシリーズMVPも受賞した。

 まさに2025年も「大谷翔平のシーズン」だった。すべてのゲームで注目を集めた計175試合のなかから、今回は7試合をチョイスして2025年を振り返る。前半編はオールスターブレイクまでの95試合中3試合だ。


2025年の大谷翔平は走塁でも見せ場を作ってくれた

 photo by Nikkan sports/AFLO

【3月19日@vsシカゴ・カブス】
東京ドームで55本塁打の幕開けとなるシーズン初本塁打

 2025年シーズン、大谷は惜しくも本塁打王を逃した。タイトルを獲得したカイル・シュワーバー(当時フィラデルフィア・フィリーズ/現FA)との差はわずか1本。とはいえ、ホームランの本数は3シーズン続けて前シーズンから増えている。2022年の34本に対し、2023年が44本、2024年が54本、そして2025年は55本だ。

 その2025年シーズン1本目のホームランは、シカゴ・カブスとの日本開幕シリーズ2試合目に生まれた。5対2で迎えた5回表、1死走者なしの場面だ。カウント2-2からネイト・ピアソン(現ヒューストン・アストロズ)が真ん中低めに投げ込んだフォーシームを捉え、センターの右へ弾き返した。

 打球は放物線の頂点で東京ドームの天井すれすれを通過し、スタンドの最前列で捕ろうとしたファンの手に当たってフィールドに落ちた。その手がなければスタンドインしていたかどうかは微妙に見え、ビデオによる検証が行なわれたが、判定はホームランのまま変わらなかった。ボールはセンターを守っていたピート・クロウ=アームストロングがスタンドに投げ込み、少年がゲットした。

 チーム開幕2試合目でのシーズン初本塁打は、ロサンゼルス・エンゼルス時代の2021年と並ぶ最速だ。もっとも、それよりも特筆すべきは、母国開催のシリーズで誰よりもホームランを期待されるなか、見事に応えたことだろう。これもまた、スーパースターのなかのスーパースターである証(あかし)と言ってもいい気がする。

 また、日本開幕シリーズの2試合で大谷が記録した3安打は、ジョン・バーティ(当時カブス/現FA)と並んで最も多かった。バーティのシングルヒット3本に対し、大谷はシングルヒットと二塁打とホームランが1本ずつ。このシリーズで複数の長打を打った選手は、ほかにはいなかった。

 ちなみに、日本人選手がメジャーリーガーとして東京ドームの公式戦で記録したホームランは、2004年3月31日の松井秀喜(当時ニューヨーク・ヤンキース)に続く2本目。松井も開幕2試合目の5回表に打ち、3打席目という点も共通する。

【4月2日@vsアトランタ・ブレーブス】
ボブルヘッドデーに元チームメイトからサヨナラ本塁打

 ドジャー・スタジアムで大谷関連のグッズを配布した2025年シーズンのプロモーションデーは5度を数えた。4月2日がMVPボブルヘッド、5月15日が盗塁ポーズ50-50ボブルヘッド、8月6日が大谷のワールドシリーズ優勝リング・レプリカ、8月27日が本塁打ポーズ50-50ボブルヘッド、9月10日が投手バージョンボブルヘッドだ。

 その第1弾となった4月2日の試合は、2回表を終えた時点でアトランタ・ブレーブスに0対5とリードされていた。ドジャースはそこから追い上げたものの、あと2イニングを残して3対5。開幕からの連勝は7で止まってもおかしくなかった。

 だが、ドジャースは8回裏にマックス・マンシーの二塁打で5対5の同点に追いつく。そして、大谷のひと振りが試合を決めた。9回裏の1死走者なしから、ロサンゼルス・エンゼルス時代のチームメイトであるライセル・イグレシアスの初球を捉え、センターフェンスの向こうまで飛ばした。

 大谷のサヨナラ本塁打は、2024年8月23日に打ったサヨナラ・グランドスラムに続く2本目だ。イグレシアスが喫したサヨナラ本塁打は8本目だが、2022年の夏にエンゼルスからブレーブスへ移籍後は1本も打たれていなかった。

 なお、大谷が自身のプロモーションデーに打った2025年のホームランは4本を数える。2本目と3本目は5月15日、4本目は8月6日だ。

【7月2日@vsシカゴ・ホワイトソックス】
併殺打を免れたあと二盗&サヨナラのホームイン

 史上初の「50-50」を達成した昨シーズンと比べると、今シーズンの盗塁は半分どころか約3分の1に減った。59盗塁→20盗塁だ。

 ただこれは、投手復帰との兼ね合いが理由だろう。盗塁を試みることは減ったものの、走るスピードが落ちたわけではない。三塁打は9本を数え、自己最多を更新した。それまでは、2021年と2023年の8本が最も多かった。

 なかでも、7月2日のシカゴ・ホワイトソックスとの試合は、盗塁を含む「3度の走り」で勝利に貢献した。

 この日は5打数1安打。唯一のヒットも会心の当たりではなく、フライが二塁後方に落ちた。2点ビハインドの9回裏、無死満塁で迎えた5打席目も快音は響かなかった。打球は二塁手の正面に転がり、一塁走者は二塁で封殺された。けれども、大谷は遊撃手の一塁送球よりも早くベースを駆け抜け、併殺を免れた。これが1度目の走りだ。

 併殺崩れの間に三塁走者が生還。さらに、ムーキー・ベッツの犠牲フライにより、ドジャースは同点に追いついた。そこから、大谷は38試合ぶりに盗塁を記録した。5月20日の二盗を最後に盗塁は途絶えていた。その間の盗塁失敗も、5月23日の1度しかなかった。

 そして、ウィル・スミスの四球を挟んでフレディ・フリーマンがライトへ打ったヒットで、大谷は三塁を回ってサヨナラのホームを踏んだ。

「たられば」になるが、大谷が4-6-3の併殺打に終わっていたら、場面は3対4の2死三塁だった。そこからの外野フライでは同点ならず、試合は終わる。また、大谷が二盗を決めたことで相手は警戒の度合いを増し、それがスミスに対する与四球につながったという見方もできなくはない。

 なお、1シーズンに50本以上のホームランを打って20盗塁以上を記録した選手は、昨シーズン(54本塁打&59盗塁)と今シーズン(55本塁打&20盗塁)の大谷だけではない。ただ、2シーズン連続はほかにおらず、2度記録した選手も皆無だ。

 開幕からローテーションに入る2026年シーズン、大谷の盗塁はさらに減るかもしれない。それでも、ここ一番においては盗塁を試みるだろう。あるいは、2025年シーズンより盗塁を増やすこともあり得なくはない。どちらも先発23登板だった2021年と2023年は、それぞれ26盗塁と20盗塁を記録している。

(つづく)