男子マラソンのレジェンドでDeNAスポーツグループフェローの瀬古利彦氏(69)が、エースの黒田朝日(4年)を5区に起用し…
男子マラソンのレジェンドでDeNAスポーツグループフェローの瀬古利彦氏(69)が、エースの黒田朝日(4年)を5区に起用した青学大の原晋監督の采配を“あっぱれ”と称賛した。驚異的な区間新記録で往路で大逆転優勝に導いた黒田の走りが、ライバルたちにショックを与え、復路のレース展開にも影響を及ぼしたと分析した。
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僕は青学大を優勝の本命に挙げていたけど、展開はまったく想定外だった。まさか去年2区で区間記録を上回る7人抜きの快走をしたエース黒田を5区の山登りに起用するとは。原マジックですね。あの采配は勇気がいるし、なかなかできない。あっぱれですよ。
何より黒田の走りが衝撃的だった。中継所でトップと3分24秒差あったから、誰も早大の「山の名探偵」(工藤)が抜かれるなんて思っていなかった。それを逆転してしまうんだから。朝日が昇って、他の有力校はショックを受けて夕日になっちゃった。流れを全部青学大に引き寄せた。彼1人で優勝したようだったね。黒田がいるチームが勝つ、そんな感じがした。
彼がすごいのは自分の体を知っていること。頼る必要がないからレース中は腕時計もしていない。常に自分の体と相談しながら冷静に走っている。だから慌てないし、ばてることもない。何より故障をしない。最後にケガをしたのは大学1年の時だと彼に聞いた。それだけ練習もしっかり積めていたんでしょう。
あの大胆采配には11年間で8度優勝している原監督の余裕を感じたね。黒田を2区に起用して流れをつくるのがふつうでしょう。でも彼は勝ち慣れているから、他の大学の監督ほど「勝たなきゃ」という重圧や気負いがない。だから思い切った選手起用もできる。監督の影響かチーム全体が明るくて、選手にもどこか余裕を感じる。
6区のスタートは2位早大と18秒差しかなかった。でも早大は復路区間に弱点があったから、本当なら選手層の厚い駒大や中大、国学院大があの位置にいなければ勝負にならない。駒大は主力の佐藤と山川を往路に使えなかったチーム事情が響いた。朝日が昇った勢いのまま青学大を調子づかせてしまった。
黒田がいなければ早大は往路優勝だった。4区のルーキー鈴木が期待を上回る快走で区間賞を獲得して、工藤も頑張って往路2位と健闘したけど、OBとしてはおめでたい気持ちになれなかった。メンバーのうち8人が来年も残るので、何とか青学大を苦しめるチームになってほしいね。
箱根駅伝は1度優勝するのだって難しいのに、選手が入れ替わる中で3連覇を2度達成するんだから、黒田が抜けた来年も青学大が優勝候補の本命でしょう。この勢いなら6連覇だってありえるかもしれないよ。