<新春インタビュー>26年ミラノ・コルティナ五輪のフリースタイルスキー・エアリアルで出場を狙う兄妹がいる。五十嵐晴冬(2…
<新春インタビュー>
26年ミラノ・コルティナ五輪のフリースタイルスキー・エアリアルで出場を狙う兄妹がいる。
五十嵐晴冬(23=美深エアフォース)と瑠奈(21=日体大)。現時点の五輪出場枠ランキングでは、日本は男女各1枠ずつ獲得する見通しで、このままいけばW杯参戦中の2人が代表入りする。出場となれば日本勢では18年平昌五輪以来、女子では06年トリノ五輪以来5大会ぶり史上2人目。初の北海道出身出場選手となり、そろって大舞台で日の丸を背負う。【取材・構成=保坂果那】
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-五輪が近づく現在の心境
晴冬 まだ僕も妹も出場が確定している訳ではないので、最後まで気が抜けない。もう本当に気を引き締めてやっていきたい。
瑠奈 私は今すごいワクワクする気持ちが大きい。今季のW杯の成績次第で五輪に手が届くところにいるので、楽しみ。
-現在取り組んでいる技
晴冬 エアリアルってマックス3回転の中でどれだけひねりを増やせるかっていう競技。去年初めて3回転を飛んで、「レイタックフル」(3回転1回ひねり)をシーズン始めからやっていて、次は「レイフルフル」(3回転2回ひねり)。世界ではもう2回ひねりが主流。
瑠奈 私は2回転のひねりなしの「レイタック」という技をやっているので今季もそれを。
-エアリアルとの出会い
晴冬 名寄市の隣町の美深町で大会があって、僕が小学3年、妹が1年の時に母親に送り込まれて。そこで初めて飛んだ時に低学年男子の部で3位に入ったのがうれしくて、チームに入団するきっかけになった。小さなジャンプ台をぴょんって飛ぶぐらいだったけど。
瑠奈 私は浮かなかった。そのまま乗り越えるぐらいだったと思う。
晴冬 ずっとクロスカントリースキーをやっていた。
瑠奈 学校の授業でもやるんだよね。スキー板も学校に置いてあって。
-恐怖心は
晴冬 基本的に怖がりで逃げ腰なので怖かったし、寒いし痛いし、練習したくないってずっと思っていた。中学3年の時に初めての海外遠征でスイスに行って、欧州杯に出たら最下位。17人くらいしか出てなくて。でもちゃんと本気で練習してこなかったので悔しさもなくて、それでスイッチが入った。
-日本ではエアリアルの練習環境は限られる
晴冬 世界では3回転が主流なのに、夏に練習するウオータージャンプ台で日本には3回転ができる場所がない。競技人口もどんどん減って、超マイナースポーツ。子どもたちのために練習環境をつくりたい。そのためにも知名度、競技成績は絶対必要。僕はそのために結果を出したいなって思いでやっている。
-苦労もたくさんしてきた
瑠奈 私はずっと2回転にあこがれていて。いつか私もやりたいって思っていたけど、人より成長が遅くて。兄妹そろってセンスはないけど、地道にコツコツ続けてきた。高校2年で雪の上で初めて飛んで。空中感覚と着地が合わなくて。ちょっとずつうまくいくようになって、今頑張っているところです。
晴冬 頑張ってください。
瑠奈 はい頑張ります。自分でもよく続けてるなって思うけど、何よりもエアリアルが好きで楽しい。見るのも飛ぶのも好き。
-五輪の思い出
晴冬 田原直哉さんが出た平昌五輪はテレビで見ていて、印象に残っている。元体操選手で五輪代表候補だったけどケガで引退して、それでも五輪に出たくてエアリアルに転向した。そういうストーリーもすごく良くて。
瑠奈 競技を始めた頃の小学生の時にみんな「オリンピック選手になる」って言っていて、私もそうだった。いつか行きたい場所だった。今、五輪の手前まで来られて「ここがあの時夢みていた場所か」という感覚。
晴冬 競技を始めて最初の6年間ぐらいは嫌だって思いながら続けたのも、いつか五輪に出る、出られるからっていうのはあったよね。
◆五十嵐晴冬(いがらし・はると)2002年(平14)12月13日、名寄市出身。名寄南小3年からエアリアルを始める。名寄中、名寄高、日体大卒業。W杯は20年ルカ大会でデビューし、個人最高は21位。22年世界ジュニア選手権9位。25年世界選手権20位。全日本選手権4度優勝。177センチ、74キロ。家族は両親と妹2人、弟1人。趣味は編み物。
◆五十嵐瑠奈(いがらし・るな)2004年(平16)10月1日、名寄市出身。名寄南小1年からエアリアルを始める。名寄中、名寄高をへて日体大在学中。W杯デビューは23年ルカ大会で、同戦と25年アルマトイ大会で自己最高19位。24年世界ジュニア選手権9位。25年世界選手権19位。全日本選手権優勝2度。162センチ、62キロ。家族は両親と兄、弟、妹。趣味はディズニーと劇団四季鑑賞。
◆エアリアルのミラノ・コルティナ五輪への道 出場枠は男女ともに開催国枠1を含む25。24-25年と25-26年のW杯と25年世界選手権の成績による五輪出場枠ランキング(1月19日の時点)によって各国に枠が配分される。1カ国最大4枠。現時点で五十嵐兄妹はともに五輪出場圏内に入っており、2大会を残すW杯で順位を落とさなければ、日本は男女各1枠ずつを確保できる。全日本スキー連盟は直近2シーズンの成績や年齢(25歳以下)などを派遣推薦基準に定めており、基準を満たす五十嵐兄妹が代表に選出される見込みだ。
◆五輪のエアリアル日本勢 正式に採用された94年リレハンメル大会で男子の待井寛が出場し、98年長野大会で安藤和明、02年ソルトレークシティー大会で中西拓、06年トリノ大会で水野剣、18年平昌大会で田原直哉の5人が出場。女子は逸見佳代のみで、02、06年の2大会で代表入りしている。最高成績は田原の17位。北海道出身選手はいない。