◇第102回東京箱根間往復大学駅伝競走往路(2日、東京・千代田区大手町読売新聞社前スタート~神奈川・箱根町芦ノ湖ゴール=…

◇第102回東京箱根間往復大学駅伝競走往路(2日、東京・千代田区大手町読売新聞社前スタート~神奈川・箱根町芦ノ湖ゴール=5区間107・5キロ)

 創価大OBで、前回箱根駅伝2区で日本人最高記録で区間2位に入った吉田響(23)=現・サンベルクス=がスポーツ報知に観戦記を寄せた。自身も過去に2度走った5区で区間新記録となる1時間7分16秒の快走で大逆転し、青学大を往路優勝に導いた黒田朝日(4年)を「全部パーフェクト。もはや人間じゃない。化け物です」と絶賛。3つの区間新が出た往路を総括し、往路8位に入った母校のシード権獲得に期待を寄せた。

  * * *

 各区間が波瀾万丈、区間新フィーバーで見応えあるレースだった。特にすごかったのは、青学大の黒田くん。もはや人間じゃない走りだった。67分台は誰もがありえないと思っていた走りで、最初は頭が真っ白になった。それだけすごい走りをする選手が日本にいるのは誇らしい。

 僕も含めて多くの選手は平地、上り、下りで走るフォームの切り替えを大事にしてるけど、黒田くんはフォームが常に変わらず安定している。山上りで大事なのは、腕を使って推進力を出す、前ももを奇麗に使う、安定したピッチの速さで走ること。(坂の傾斜が最大になる)宮ノ下付近で崩れたり、上りから下りの切り替えが難しくてタイムを稼げない選手が多いけど、彼は全部がパーフェクト。上りを感じさせない軽やかな走りは圧巻だった。

 小田原中継所でトップと3分24秒差。平地だと1分ひっくり返すだけでも大変だけど、山は特殊区間なので、3分差はひっくり返せる。黒田くんは絶対に自分が全員ぶち抜くんだと、緊張よりも抜くのを楽しんでいた。誰でもどこかでキツくなって表情がゆがむけど、彼は1回もゆがまなかった。本当に同じ人間かなと、見ていて怖かった。クールな印象だけど、ゴール後に感情をむき出しにして喜んでいた。今回の箱根にかけていたんだと思う。68分台でも山の神なのに、山の神をはるかに凌駕した。チームメートも黒田選手が味方で良かったと、心の底から思っているはず。

 前回大会で同じ2区を走った後、黒田くんにラップタイムを聞くと計っていなくて、「感覚でいきました。いい感じで走れました」と笑顔で話していた。本当に化け物だなと。黒田くんも今後はマラソンや実業団駅伝を走るだろうし、強敵になる。次は何十秒と差をつけて自分の方が強いと見せられる走りをしたい。

 僕が大学3年の時、5区は雪まじりで山を上ると本当に寒かった。今回は(山の)下は暖かかったけど、小涌園前を越えてから標高が高くて木陰で寒く、寒暖差と風もあって選手はキツかったと思う。

 早大の工藤慎作選手は流れ良く走っていた中で、1番でいかなきゃいけないというプレッシャーもあってか、表情や走りが堅かった。宮ノ下で1位の中大が見えた時、平地だと『あそこで(相手を)抜ける』と元気や力が沸いてくるけど、逆に山ではそう思った瞬間に力んだと思う。宮ノ下付近でリズムが崩れて走りが堅くなり、しんどいレース展開だった。でも、芦之湯を過ぎてから得意の下りでいい走りをしていた。ただ、相手が悪かった。

 母校の創価大は総合力で勝つことをテーマにやってきた。往路は区間上位で走った選手もいて8位。復路は、スピードがあって「響さんを超えてエースになる」と話している小池莉希(3年)ら力のある選手がいて楽しみ。シードを獲得してほしい。

 僕は1日に初のニューイヤー駅伝で2区を走り、22人抜きで区間新を出せて自信になった。25年は丁寧に積み上げて、今年は飛躍の年にしたい。駅伝やフルマラソン、トレイルランもどんどん大会に出て、自分の活躍で走る魅力をいろんな人に届けたい。大学駅伝はレベルが高くて、年々、シューズの技術や選手も進化している。僕たちも負けないように食らいついていきたい。(創価大OB)

 ◆吉田 響(よしだ・ひびき)2002年8月20日、静岡・御殿場市生まれ。23歳。原里中1年時に陸上を始め、東海大静岡翔洋から21年に東海大入学。1年時に箱根5区2位。3年時の23年4月に創価大に編入し、出雲5区区間賞相当、全日本5区区間新記録、箱根5区9位。4年時は出雲2区区間賞、全日本2区2位、箱根2区で日本人最高記録の1時間5分43秒で区間2位。25年に卒業後、サンベルクスとスポンサー契約を結び、プロ転向。自己ベストは5000メートルが13分39秒94、1万メートルが28分12秒01。161センチ、46キロ。