日本サッカーは「右肩上がり」の成長が続いている。男女の代表チームや欧州での個々の活躍が目を引くが、そのベースにあるのは…
日本サッカーは「右肩上がり」の成長が続いている。男女の代表チームや欧州での個々の活躍が目を引くが、そのベースにあるのは「選手育成」の充実だろう。サッカージャーナリスト後藤健生が、日本サッカー界の未来を照らす「才能」たちに目を向ける!
■日本サッカーを支える「育成」
年末年始は、各年代別の大会が目白押し。寒い中、連日のように、さまざまな世代の試合を観戦して過ごす毎日である。
Jリーグが発足する少し前から、日本のサッカー界は「育成」に力を入れ始めた。そして、Jリーグという“受け皿”も整備されて選手の能力はどんどんと上がっていった。そして、国際的に活躍できる選手が輩出されてきた。
最初はヨーロッパのクラブに移籍できるのは日本代表を経験した、ごく一部のエリート選手だけだったが、今では、100人を超す選手がヨーロッパのクラブで活躍している。
かつては日本人選手が所属するチーム同士の戦いがあると「日本人対決」などと大騒ぎしていたものの、今ではドイツやオランダ、ベルギーなどでは「日本人対決」などは珍しくもなくなっている。また、UEFAチャンピオンズリーグに日本人が出場するのも当たり前となった。
そして、日本代表はFIFAランキングで20位以内をキープ。ワールドカップでグループリーグを突破するのはもはや目標ではなく、最低限のノルマのような感覚になっている。
それもこれも、すべては「育成」の成功によるものである。
毎年、年代別の大会を見ていて新しい才能を発見するのは大きな楽しみだ。「4年後の日本サッカーは今よりももっと強くなるだろう」と信じながら試合を見ることができるのは、本当に幸福なことである。
■「安定した試合運び」の名古屋
12月27日には「高円宮杯JFA第37回全日本U-15選手権大会」の決勝戦があり、名古屋グランパスU-15が、横浜F・マリノスジュニアユースを3対1で破って15年ぶりの優勝を決めた。
名古屋は、1回戦でツエーゲン金沢U-15相手に7対1のスコアで大勝。2回戦では京都サンガF.C.U-15と大接戦となり、アディショナルタイムに入ってからの得点で3対2と競り勝ったが、その後、準々決勝は横浜FCジュニアユースに2対0、準決勝はRB大宮アルディージャU15に3対1、そして決勝は横浜相手にやはり3対1のスコアといずれも複数得点差をつけて勝利。安定した試合運びが目立った。
僕が観戦したのは東京・味の素フィールド西が丘に舞台を移してからの準決勝、決勝の2試合だけだが、どちらも1失点はしたものの、安定した守備が目立っていた。シュート数を見ても、大宮との試合が17本対12本、決勝戦は17本対8本と圧倒している。
■「背番号10」のセンターバック
その守備の中心、3バックのセンターにいたのが10番を付けた竹内悠三だった。
182センチの長身に加えて、足元のテクニックと正確なキックを持ち、そして判断力も高い理想的なDFだ。
だが、この竹内、背番号10を付けていることでも分かるように、時にはFWで起用されることもあり、実際、DFとしてプレーしていた決勝戦でも49分(80分ハーフなので後半9分)に右CKからのボールに走り込んで完璧にとらえて、リードを広げる強烈なヘディングシュートを決めている。
すでに、2026年のU-17ワールドカップを目指すU-16日本代表、つまり1歳上の世代の日本代表にも何度もメンバー入りしている将来のホープである。今後、そのパス能力を生かしてボランチで起用する選択もあるような気もするが、最終ラインからスルスルと上がっていく攻撃参加も魅力的だ。
今年のU-15年代の最高の選手のひとりであることは間違いない。