箱根駅伝に「シン・山の神」が降臨した。青学大が、同大の往路記録を5秒更新する5時間18分8秒の新記録で、3年連続8度目の…

箱根駅伝に「シン・山の神」が降臨した。青学大が、同大の往路記録を5秒更新する5時間18分8秒の新記録で、3年連続8度目の往路優勝。大会初となる同一チーム2度目の3連覇に王手をかけた。1区16位と出遅れたが、その後は順位を上げ、山登り5区起用となったエースで主将の黒田朝日(4年)が、従来の区間記録を1分55秒も更新する1時間7分16秒の新記録でゴール。陸上一家で育った逸材が衝撃的な逆転Vで復路につないだ。

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「俺が、シン・山の神だ!!」-。黒田が、瞬く間に箱根の山を駆け登った。

当日変更で挑んだ初の5区で首位とは3分24秒差。「タイム差的に厳しかったので、行くしかなかった」。優勝するために原晋監督(58)も「最悪3分半。ギリギリだった」。5番手で小田原中継所を飛び出し、次々と前方を走るランナーを抜き、19キロ地点で「山の名探偵」こと首位早大・工藤を捉えて逆転した。

昨年にOB若林宏樹がマークした区間記録を1分55秒も更新。驚異的な快記録にはライバル大学の監督たちもお手上げだった。原監督から「『シン・山の神』誕生です!!」と名付けられた黒田は「称号がもらえるということだったので、しっかり頑張りました」と笑みを浮かべた。

5区起用を指揮官から言い渡されたのは、12月上旬の強化合宿の後だったという。「坂は得意」と、元々、1年時は山登り候補だった。しかし、昨年まで若林がいたため、花の2区を任されていた。「どうしてもこの区間を走りたいみたいなこだわりはない。任された区間でしっかり力を出す」。今回の「急造クライマー」も主将の1つのミッションと捉えていた。

レース前には先輩の若林が走った映像を見返した。保温のために、普段はあまりつけないボディークリームを塗るなど、万全の準備をして臨んだ。

父将由さんは法大時代に3度の箱根路を走り、弟然(2年)は現チームメート。さらに妹六花は駅伝強豪校の宮城・仙台育英高で競技に打ち込むように、陸上一家で育ってきた。

昨年2月に亡くなったチームメート皆渡星七さんの思いも込めて右太ももに「★7」と記して出走。速さと強さ、仲間との絆の深さで難局を突破した教え子を原監督は「箱根史上最強ランナー」とも名付けた。

「限界を超えて走ったのでダメージはかなりきている」とゴール後は脚のけいれんが止まらなかった。それでも、「箱根駅伝は今日で終わったわけではない。明日の復路が残っている」と力強く言う。指揮官発令の「輝け大作戦」のごとく、大手町で1番星に輝くため、思いを託した。【泉光太郎】

◆黒田朝日(くろだ・あさひ)2004年(平16)3月10日、岡山県生まれ。桑田中から玉野光南高に進み、高3時は全国高校総体男子3000メートル障害2位。大学進学後はU20アジア選手権同種目で優勝した。大学3大駅伝は2年時の出雲2区でデビューし、区間賞。昨年2月は初マラソンで日本人学生記録(2時間6分5秒)を樹立した。卒業後は実業団のGMOインターネットグループに加入する。父将由さんは法大時代に箱根路に3度出走。弟然さんは青学大2年。妹六花さんは宮城・仙台育英高2年で陸上部所属。マイブームはカメラ。好きな芸能人は綾野剛。165センチ、50キロ。