◇第102回東京箱根間往復大学駅伝競走往路 (2日、東京・千代田区大手町読売新聞社前スタート~神奈川・箱根町芦ノ湖ゴール…
◇第102回東京箱根間往復大学駅伝競走往路 (2日、東京・千代田区大手町読売新聞社前スタート~神奈川・箱根町芦ノ湖ゴール=5区間107・5キロ)
青学大が5時間18分8秒の新記録で3年連続8度目の往路優勝を果たし、史上初となる同一チーム2度目の3連覇(計9度目)に王手をかけた。
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青学大5区の黒田君はまさに異次元の走りだった。早大の工藤君も1時間9分台。歴代でも屈指の好記録なのに、ひっくり返されるなんて、誰も想像できなかったと思う。
黒田君は頭脳的な走りのできる逸材だ。リミッターがなく、平地でも山でも戦局を変える走りができる。周りや常識にはとらわれず、時計もつけずに自分の感覚で走る。脚筋力が強く、重心が低い走りで風の影響も受けにくい。地を這(は)うように起伏にも適応でき、初めての箱根の山上りでも、度胸の良い走りを見せつけた。オールラウンダーで、マラソン日本人学生最高記録(2時間6分5秒)を持つが、現時点で日本記録(2時間4分55秒・大迫傑)を出す力はあると思う。箱根から世界へ、の大会理念を必ず体現してくれると信じている。28年ロサンゼルス五輪などで日本代表として世界と勝負してほしい。
黒田君の5区起用は私も驚いた。中大、国学院大、駒大に往路で先行されたくなかったのだと思う。8度優勝するなど、箱根駅伝を知り尽くした原監督ならではの神の領域の采配だった。常に緻密(ちみつ)に先読みし、ベストな区間配置を考え抜く。黒田君の5区は決してバクチではなく、神野大地君らでの山での成功や失敗も経験し、最善手として繰り出したもの。予期せぬ体調不良者が出ながら、4区までしっかりと逆転可能な差でつないだ分厚い選手層も勝因だった。
追う早大、中大、国学院大、駒大は6区の山下りがカギ。攻めの走りでタイム差を詰めないと7区以降、青学大が得意の逃げ切りに入る可能性が高い。(元早大駅伝監督、住友電工監督・渡辺康幸)