<第102回箱根駅伝>◇2日◇往路◇東京-箱根(5区間107・5キロ)城西大のビクター・キムタイ(4年)が「花の2区」で…
<第102回箱根駅伝>◇2日◇往路◇東京-箱根(5区間107・5キロ)
城西大のビクター・キムタイ(4年)が「花の2区」で衝撃の区間新記録を打ち立てた。トップと23秒差の6位から出ると、エティーリ(東京国際大)が昨年マークした1時間5分31秒を22秒も更新する1時間5分9秒を樹立。同校初となる1区以外のトップたすきリレーも実現した。ケニアから来日した遅咲き25歳の苦労人が、箱根路では初の区間賞で地力を証明した。
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キムタイは、爆走に見えて淡々と、ペースを刻んでいた。SNS上で鈴木雅之風、と話題のサングラス姿で1キロ2分50秒台を守る。ハイペース一辺倒だった昨年10位を猛省した成果だった。「更新できるなんて思っていなかったよ。チームのために楽しもうと思っていたら、記録が生まれていたんだ」。6位から出て早大の山口智規(4年)を突き放し、中大の溜池一太(4年)も18キロすぎに抜き去り、前年エティーリの残像も置き去りにした。別世界の64分台に迫る仰天タイムだ。
ケニアで6人きょうだいの家庭に生まれ、裕福ではない中“浪人”3年間を経て、城西大初の留学生として21歳で来日した。4年間“専属”で指導した五十嵐コーチは「食事から四季まで、日本の全てに苦労していた」と明かす。1年時は3区で11位。2年時は全日本大学駅伝の予選会で12位に沈むなど助っ人になれなかった。一方で早朝練習に遅刻せず、自炊し、勤勉な性格で“日本人”のように成長。23年から出雲、全日本で通算5連続の区間賞に輝く。標高2000メートル超の高地で育った細胞も維持しようと低酸素室での練習も課し、素養を磨き上げた。
あとは結果だけ、という中で最終学年の全日本は区間2位。帰りの新幹線、櫛部監督の隣に座り、言葉を発せなかったエースは「得意」だった10キロ以下のスピード走を封印し「苦手」だった25キロを走るスタミナ練習を重ねた。「克服を繰り返した彼らしい」と五十嵐氏が喜ぶ集大成だった。
最後の箱根路で輝けた新記録男は「最高の気分だよ」と親指を立て、ウインクした。卒業後は埼玉医大グループに加入予定。夢は、育った日本にいながらケニア代表として五輪の長距離に出ることだ。【木下淳】