ロハスの姿勢に誰もが刺激を受けている(C)Getty Images 3連覇で花道を飾れるか――。チーム最年長のミゲル・ロ…

ロハスの姿勢に誰もが刺激を受けている(C)Getty Images
3連覇で花道を飾れるか――。チーム最年長のミゲル・ロハスは、来季限りで現役引退する意向を示している。メジャー屈指の守備力だけでなく、犠牲の精神でリーダーシップを発揮し、チームを束ねてきた。2連覇で終えた2025年シーズン、フィリーズとの地区シリーズを突破した10月9日。試合後、守護神として大活躍した佐々木朗希について、熱く語った。
「彼の活躍が見られて、本当にうれしいよ。自分は主役じゃない。チームが勝つために、仲間のためなら僕は何でもする。このまま彼がこの活躍を続けてくれるなら、11番は永久欠番、殿堂入りするよ」
慣れ親しんだ背番号11を佐々木に譲り、思い入れもあった。だからこそ、自分のことのように期待のルーキーの活躍を喜んでいた。チームのために、何でもする――。この言葉が、ロハスの献身的な姿勢を物語っていた。
24年シーズンは、遊撃手に本格的に挑戦したムーキー・ベッツを徹底指導。基礎固めの反復練習に付き添った。キャリアの大半を遊撃手としてプレーしてきたロハスにとっては、ベッツの成長は自らの出場機会が激減することにもつながる。だが、「もし毎日プレーできないのであれば、チームメートの手助けをする責任がある。チーム内での役割も理解している。ムーキーをサポートし、チームの勝利に貢献することは、結果的にチームがより多く勝つことにつながる。それが自分の役割だと思っている」と、ほぼ毎日、早出の特守に付き添っていた。
キャリア晩年の名選手たちが、目指す野球人生の見本でもあった。ロハスは14年にドジャースでメジャーデビューし、15年から22年まではマーリンズに在籍。当時の経験が、今にも生きているという。「若い頃、フィールド内外で模範となる選手たちをたくさん見てきた。キャリア終盤の選手、例えばカーティス・グランダーソンやイチロー・スズキ、マイアミで彼らと一緒にプレーして、ベンチから試合を見る視点や落ち着きぶり、そして、どうすればチームメートの助けになれるか、そういう考え方を学んだんだ」。プレーだけでなく、シーズンを戦う上でのマインドやチームに貢献する姿勢を間近で見てきた。その経験を、ドジャースで還元している。
ベテラン選手としてリーダーシップを発揮しつつ、新加入の選手たちがプレーしやすいように、環境作りのサポートも行ってきた。25年シーズンで言えば、佐々木の本拠地での登場曲として定着したラテン系ミュージック「Bailalo Rocky(バイラロ・ロッキー)」を勧めた。スペイン語で「踊ろう」という意味があり、ノリノリの音楽で球場のファンと一緒になって盛り上げた。その前年は、当時メジャー1年目だった山本由伸にメッセージ付きのワインボトルをプレゼント。新しいチームに早くなじめるよう、歓迎ムードを作った。日本人選手との関係構築でも、気配り上手なロハスが一役買った。
球団は現地時間12月4日、1年550万ドル(約8億6000万円)で再契約を結んだことを発表した。その後、ロハスは球団SNSを通じて心境を語った。
「来年、戻ってこられることにとてもワクワクしている。私にとって、選手としての最後のシーズンになる。目標は3連覇。ドジャースタジアムで、またファンの前でプレーできることが楽しみでならない」
球団初のワールドシリーズ2連覇は、第7戦の9回一死から同点本塁打を放ったロハスの力も欠かせなかった。攻守に加え、チームの結束力を強める意味でも必要不可欠な大ベテラン。3連覇を目指す壮大な挑戦が、現役ラストイヤーとなる。
[文:斎藤庸裕]
【著者プロフィール】
ロサンゼルス在住のスポーツライター。慶應義塾大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。プロ野球担当記者としてロッテ、巨人、楽天の3球団を取材した。退社後、単身で渡米し、17年にサンディエゴ州立大学で「スポーツMBAプログラム」の修士課程を修了してMBA取得。フリーランスの記者として2018年からMLBの取材を行う。著書に『大谷翔平語録』(宝島社)、『 大谷翔平~偉業への軌跡~【永久保存版】 歴史を動かした真の二刀流』(あさ出版)。
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