かつてNHK「紅白歌合戦」の裏番組として大晦日(みそか)のテレビで暴れた格闘技中継だが、地上波での視聴はかなわなくなっ…
かつてNHK「紅白歌合戦」の裏番組として大晦日(みそか)のテレビで暴れた格闘技中継だが、地上波での視聴はかなわなくなっている。2025年12月31日の格闘技興行は「RIZIN 師走の超強者祭り」がさいたまスーパーアリーナで、井岡一翔(志成)のWBA世界バンタム級挑戦者決定戦が東京・大田区総合体育館で行われたが、いずれも有料ネット配信だった。
格闘技的なテレビ番組を探すと、TBSが「大晦日オールスター体育祭」として「SASUKE」、「最強スポーツ男子頂上決戦」などTBSのスポーツコンテンツの祭典を放送。ボクシング前WBO世界バンタム級王者・武居由樹、総合格闘技からは堀口恭司、エドポロキング、杉山しずか、プロレスから鷹木信悟、ウナギ・サヤカらが出演したが格闘競技はなし。柔道金メダリストでプロレスに転向したウルフアロンが、壁を押し合う「パワーウォール」で、世界陸上男子ハンマー投金メダリストのイーサン・カツバーグに勝利するシーンは楽しめたが興奮はそこまで。
RIZIN興行では朗報があった。2026年の大晦日大会は、さいたまスーパーアリーナが改修のため、愛知・名古屋市のバンテリンドーム ナゴヤに初進出することが発表された。旧ナゴヤドームでの格闘技大会といえば、あの曙VSボブ・サップ以来23年ぶりのこととなる。
2003年は地上波の格闘技絶頂期だった。TBS系「K‐1 PREMIUM Dynamite!!」(ナゴヤドーム)が、野獣ボブ・サップVS元横綱・曙(サップの1回KO勝ち)で、瞬間最高視聴率43.0%(関東、ビデオリサーチ調べ)を記録し、瞬時ながら“打倒紅白”を達成している。
この年は日本テレビ系が「INOKI BOM‐BA‐YE」(神戸ウイングスタジアム)、フジテレビ系が「PRIDE男祭り」(さいたまSA)と3局が格闘技中継を競うバブル状態だった。この興行戦争のノンフィクション「格闘技が紅白に勝った日」(細田昌志著、講談社)にはスポーツ報知取材班も協力した。
近年ではフジが21年まで7年連続で総合格闘技「RIZIN」を中継してきたが、22年から撤退。22年まで12年連続で、プロボクシング世界戦(17年以外は井岡一翔が出場)を生中継してきたTBSも、23年から撤退した。野球のWBCやサッカーW杯などワールドワイドな配信ビジネスによって高額化するスポーツの放映権料という問題も横たわり、米国型ビジネスのボクシング世界戦はもはや絶望的だ。
日本発祥のRIZINは、今回の「師走の超強者祭り」では、地上波時代の顔だった朝倉未来がフェザー級王者のラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)に1回TKO負け。かつての視聴率女王、RENAは、女子スーパーアトム級王者・伊澤星花に一本負けした。地上波中継が飛びつく大衆受けする新たなスター選手の出現、そして超目玉マッチメークを1年後のナゴヤで待ちたい。(酒井 隆之)