阿部監督にとっても今季は就任3年目、勝負を賭ける年となる(C)TakamotoTOKUHARA/CoCoKARAnext…

阿部監督にとっても今季は就任3年目、勝負を賭ける年となる(C)TakamotoTOKUHARA/CoCoKARAnext
野球評論家の佐野慈紀氏が現在の野球界を独自の視点で考察する「シゲキ的球論」。年末年始編の今回はシーズン3位に終わった巨人の巻き返し策、次期4番を考察する。
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藤川阪神に大きく水をあけられた阿部巨人にとって2026年シーズンはV奪回が至上命題となる。
チームの課題としては「盗塁率アップ」を掲げ、亀井善行コーチを一塁コーチャーに起用することも内定。就任当初に掲げた「暴走族」という言葉を再び用いて、積極盗塁を選手に促そうとしている。
巨人は25年シーズン、チームの盗塁数は「53」でリーグワースト。1位の阪神は「100」だった。
一方、佐野氏は「走る前に、そもそもの“つなぐ野球”ができていない。もう少し、チームの形を構築したほうがいいんじゃないかと思います。足りない部分が多い」と手厳しい。
巨人の攻撃スタイルがシーズン最後まで見えにくかったことも勝ち星に響いたと指摘。実際にチームでは秋季キャンプでは改めて機動力野球を目指し、細かい作戦を徹底的に取り組んだという。現役時代は犠打世界記録も樹立、「バントの神様」川相昌弘氏がディフェンスチーフコーチとして1軍に復帰することも追い風と期待されている。
こういった点も踏まえて、佐野氏は続ける。「チームが勝っていた時は勝負強い打者がいたが、いまはいない。パンチ力あるバッターは時々出てきていますけどね。実は見えていない課題というのが多いんですよ。監督のビジョンと選手のビジョンが一致していない気がしますね」
その上で長く4番を務めた岡本和真を欠くチームにおいて、期待する打者にも触れた。
佐野氏は「あまりに4番・岡本の抜けた穴は大きいですよね。その役割を求められると非常に厳しい」としながら、「まあ、長打という面でいえば、リチャードの名前がまず上がるでしょうね。次にキャベッジとかでしょうね。あとは新外国人のダルベック。でも言えることは、年間通じて4番を打てる選手はいないでしょうね」と断言する。
23年にキャリアハイの41本塁打をマークするなど長く4番を務めた右の大砲を欠くことは大きく、穴埋めを1人の打者に求めるのは厳しいという見立てを披露。
目を向けたのはヤングジャイアンツだった。「長打という意味で覚醒したら面白いのは中山礼都か、復活すれば大城ですかね」と指摘する。
中山といえばこれまで潜在能力の高さも認められながら、なかなか突き抜けられなかったが、プロ5年目シーズンとなった25年は7月のプロ初本塁打を皮切りに7本塁打をマーク。ルーキー時代から知る阿部慎之助監督を喜ばせた。大城もチームでは捕手渋滞が起こる中で、強打を生かすための起用法が注目される。
何より助っ人、ベテラン、若い力が束になって向かっていかなければ、投手王国を築く阪神の牙城を崩すのは難しい。就任3年目となる阿部監督率いる巨人の戦いぶりが引き続き注目を集めていきそうだ。
【さの・しげき】
1968年4月30日生まれ。愛媛県出身。1991年に近鉄バファローズ(当時)に入団。卓越したコントロールを武器に中継ぎ投手の筆頭格として活躍。中継ぎ投手としては初の1億円プレーヤーとなる。近年は糖尿病の影響により右腕を切断。著書「右腕を失った野球人」では様々な思いをつづっている。
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