新日本プロレス「WRESTLE KINGDOM20 in 東京ドーム 棚橋弘至引退」が1月4日に東京ドームで行われる。“…
新日本プロレス「WRESTLE KINGDOM20 in 東京ドーム 棚橋弘至引退」が1月4日に東京ドームで行われる。“100年に1人の逸材”として団体を引っ張り、現役を引退する棚橋弘至(49)が運命の1・4を迎える。チケットが全席完売となった大注目の大会を前に、棚橋の激闘10選を10回にわたって振り返る。8回目は2019年1月4日、東京ドームでの棚橋vsケニー・オメガだ。
<棚橋弘至・激闘10選:第8回>◇2019年1月4日◇東京ドーム
棚橋弘至(42)が平成最後の1・4東京ドーム大会で3年11カ月ぶりの王座戴冠を果たした。IWGPヘビー級王者ケニー・オメガ(35)を下し、自身が持つ最多を更新する8度目の王座についた。
「やる力、残ってないわ…」と1度は勝利のエアギターを断った。しかし、棚橋は4万近い大観衆の声に応じずにはいられなかった。「もう帰ってこられないかと思っていた」という1・4東京ドームのメイン。3年ぶりに立ったど真ん中で、ベルトを手にし、ギターをかき鳴らすしぐさ。そして、うれしそうにぶっ倒れた。
大会前からプロレスに対して異なる主張をぶつけ合ったオメガと、リングで約39分の死闘を繰り広げた。終盤、古傷の右膝を引きずり、体力は限界に。その状況下で代名詞のハイフライフローを2連発したが、相手に耐えられ勝負を決めきれない。逆にふらふらとなった体を抱えられ「片翼の天使」でトドメを刺されそうになりながら、力を絞ってかわした。そして、最後は再びハイフライフローを放ち、ついにオメガを沈めた。
通算8度目のベルト。それでも「初めて巻いたよう」と新鮮な喜びにつつまれた。昨年1月、右膝変形性関節症で1カ月欠場した。「ガタがきたなと思いました」。リハビリをしながら考えたのは、自分がこれからどんなプロレスをするか。膝は完治しない。若い時のような動きのキレはない。その中で「今の自分を受け入れる。慈しむ」と答えが出た。できる技を組み合わせ、見せることもできる。そしてまたプロレスが「楽しくなってきた」。
付け人をしていた武藤敬司に言われた言葉がある。「プロレスで一番難しいのは人を泣かすことだよ」。昨夏、G1クライマックスで優勝し、リングから観客席を見ると泣いている人がたくさんいた。喜怒哀楽そのものを技を通して見てもらい、涙を流してもらう。「これがプロレスの一番の醍醐味(だいごみ)」。エルボーに込めた怒り。膝が動かない悲しみ。この日も心の揺れを1つ1つの技に込めた。終わった後、観客席を見渡すと涙が見えた。自分のプロレスは間違っていないと確信した。
平成最後の1・4に「愛してまーす」の大合唱。来年の東京ドーム2連戦も「大丈夫。俺がなんとかします」。新日本の中心には、変わらず棚橋がいる。
<注>当時の記事をリメーク。記事中の年齢、肩書などの表記は当時のものを使用。