◆第104回全国高校サッカー選手権 2回戦 神戸弘陵(兵庫)2―1前橋育英(群馬)(31日、浦和駒場) 2回戦16試…
◆第104回全国高校サッカー選手権 2回戦 神戸弘陵(兵庫)2―1前橋育英(群馬)(31日、浦和駒場)
2回戦16試合が行われ、2大会ぶり出場の神戸弘陵が前回大会優勝の前橋育英を2―1で破り、3回戦進出を決めた。2024年パリ・パラリンピック車いすラグビー金メダリストの池透暢(ゆきのぶ)を父に持つFW池壱樹(いつき、3年)が2得点を決めて勝利の立役者となった。3回戦は2日に行われる。
父親譲りの勝負強さが、王者撃破への道を切り開いた。0―0の前半15分。FW池壱樹が右FKのこぼれ球をエリア内で拾うと、迷いなく右足を振り抜く。このシュートが相手に当たってコースが変わりネットを揺らした。「ゴールが目の前だったので、思い切り振り抜いたら入りました」。チームに勢いを与える先制点となった。
世界の頂点を知る父からのエールに発奮していた。池の父はパリ・パラリンピック車いすラグビー日本代表の主将としてこの種目に初の金メダルをもたらせた池透暢(ゆきのぶ)。鉄のかたまりのような車いすでタックルし、火花が散るほど激突する激しい競技で父はパラ3大会に出場。闘魂の塊のような父から試合前に届いたメッセージは「勝つためには3点いる。お前が3点決めろ」。王者を相手に激烈なハードルを設定された。
魂のつまった金メダルを首にかけさせてもらいパワーをくれた父からの言葉が強く背中を押す。1―0の同40分には左サイドでボールを受けると、ミドルシュートをゴール左へ決めて2点目。後半は劣勢となり、池も後半35分で途中交代となったが、勝利の立役者となった。壱樹は「(3点には)届かなかったけど、2点を決めてチームを勝利に導くことが出来てよかった」と笑みを浮かべた。
神戸弘陵は2大会前にも前橋育英を2回戦で下していたが、当時1年の池はスタンド観戦だった。父からの「練習の時は自分が一番下手だと思って練習して、試合の時は自分が一番うまいと思ってピッチに立て」との金言を胸に練習を重ねた。入学時から体重も10キロ増やして64キロに。身長172の細身が全国で戦える力を身につけ、輝きを放った。
チームの最高成績は93年度の8強で目標はもちろん全国制覇。「(父は)本当に努力して(夢が)かなっているのを見たので、自分もそうなりたい」と気合十分。10番を背負うチームのエースが父に続く頂点を目指す。(後藤 亮太)
◆池 壱樹(いけ・いつき)2007年7月31日生まれ。18歳。高知県出身。アスルクラロ高知、JFAアカデミー福島U―15WESTを経て神戸弘陵に進学。目標の選手はイングランド代表FWグリーリッシュ。172センチ、64キロ。
◆池 透暢(いけ・ゆきのぶ)1980年7月21日生まれ。45歳。高知県出身。19歳の時に交通事故に遭い、左足を切断し、左手にも障害を負った。12年に車いすバスケットボールから車いすラグビーに転向。14年から日本代表主将を務め、16年リオ、21年東京パラリンピックで2大会連続銅メダル。24年パリ大会で史上初の金メダルを獲得した。