東海大長距離競技会が31日、神奈川・平塚市の東海大湘南キャンパス陸上競技場で行われ、第102回箱根駅伝(来年1月2、3…

 東海大長距離競技会が31日、神奈川・平塚市の東海大湘南キャンパス陸上競技場で行われ、第102回箱根駅伝(来年1月2、3日)に出場する東海大、日大、日体大の登録メンバー16人から外れた選手が力走した。男子1万メートルは、前回9区に出場(区間19位)した日大の小路翔琉(こみち・かける、4年)が29分12秒75でトップを取った。東海大の本村翔太(4年)が競技人生ラストレースで自己ベスト記録を約20秒更新する29分14秒05で2位と力走した。

 箱根駅伝直前の年末。各校で行われる登録外メンバーによる競技会は、登録メンバーに勢いを与えるという意味で「箱根駅伝0区」と呼ばれる。特に学生最後の箱根駅伝に出場できないことが決まっていながらも健闘する4年生の走りは、2日後に大舞台を迎える選手にとって力を与えた。

 12月10日に決定する16人登録メンバー。東海大の本村はチーム17~18番手で登録メンバーから外れた。「重要な選考レースだった上尾シティハーフマラソンで大失敗(1時間6分38秒で253位)してしまい、登録メンバーに入ることは厳しいとは感じていましたが、実際に12月10日に外れて、中学生からずっと目標にしていた箱根駅伝を一度も走れないことが決まって、落ち込みました」と本村は、ちょうど3週間前の運命の日を率直に振り返った。

 愛知・名経大高蔵高出身。卒業後は飲食業の会社に就職が内定している。「3日くらい落ち込みましたが、中学生から10年間、続けてきた陸上の最後をしっかり終わらせよう、と気持ちを切り替えました。チームのためにできることを最後までやろう、と思いました」。本村は気力を振り絞って、この日の「箱根駅伝0区」に臨んだ。

 序盤から先頭集団でレースを進め、5000メートルを14分33秒で通過。箱根駅伝出場経験を持つ日大の小路とデッドヒートを繰り広げる本村に対して、ロホマン・シュモン(4年)ら東海大の同期生は大声で応援した。本村は僅差で小路に敗れたが、29分33秒78の自己ベスト記録を19秒73も更新する29分14秒05でフィニッシュラインを駆け抜けた。

 全力を出し切り、ゴール後、倒れて動けなかった本村を東海大の登録メンバーたちは取り囲み、称賛した。本村の魂がこもった力走に、8区に登録されたロホマンは「感動しました。力をもらいました。僕も絶対に頑張ります」と目を潤ませて話した。

 「競技人生ラストレースで自己ベスト記録を出せてよかったです。箱根を走るメンバーに勢いをつけられたと思います」。トラック25周を全力で駆け抜けた本村は充実した笑顔を見せた。4年間、そして、この日のレースを見守った両角速監督(59)は「箱根駅伝を走りたくて、東海大に来て、走れなかったけど、4年間、チャレンジしたことは必ず残る。社会人になって生かしてほしい」と本村に言葉を贈った。

 箱根駅伝本番では3区の給水係を務める。「選手に伝えるべきことをしっかり伝えて、50メートルを全力で走りたい」と本村は言葉に力を込めて話した。

 「きょう、全力を出せましたけど、日大の小路選手に競り負けて『箱根駅伝0区』の区間賞を取れなかったことは、少しだけ悔しさが残ります。あとは、箱根駅伝を走るメンバーに任せます」と爽やかに話した。東海大のタスキは「0区」の本村から、1区登録の兵藤ジュダ(4年)に渡った。

 第102回箱根駅伝まで、あと2日。