第102回東京箱根間往復大学駅伝が来年1月2、3日に行われる。2年ぶりに本戦復帰する東農大の絶対的エース前田和摩(3年=…

第102回東京箱根間往復大学駅伝が来年1月2、3日に行われる。

2年ぶりに本戦復帰する東農大の絶対的エース前田和摩(3年=報徳学園)は1万メートル日本人学生歴代トップのタイムを持つ好ランナー。昨季は不調に悩まされていたが、再び学生駅伝最高峰の舞台に戻ってきた。

年を重ねるごとに松葉緑のユニホーム姿がなじむ。1年時に日本人トップとなった10月の箱根予選会(ハーフ)では先頭集団で粘って日本人6番手の個人14位。チームトップの力走で総合6位通過に貢献した。

昨年の予選会は10位順大にわずか1秒差の次点と泣いた。同レースを欠場した前田自身も膝の故障や肺気胸に苦しめられ、「この1年間はなかなか難しい期間だった」と振り返る。ただ、「自分の将来のためにはきっと必要な期間だった」とも言う。

新チーム発足後も思い通りの練習消化はできなかった。しかし、「この1秒を忘れるな!」-。陸上部のホームページに昨年の予選会の総合成績表の写真を大きく載せるなど再起に燃えるチームのように、前田も落ち込んでいる余裕はなかった。

今シーズンは距離走に励み、スタミナを強化。「ジョグの出来で言えば、圧倒的に今の方が良くて。むしろケガする前、1年生の時よりももっといい状態」と話すように最短復帰を決めた秋の予選会の力走にもつながったという。

第100回記念大会では復路7区でデビューも、区間13位と力を出し切れなかった。今回の希望区間は「6区以外であればどの区間でも対応可能だが、強いて言うなら2区」と各校のエースがひしめく激戦区間を挙げた。

前田にとって花の2区は憧れのロードでもある。2020年の第96回大会。東洋大・相沢晃(現旭化成)が東京国際大・伊藤達彦(現ホンダ)との競り合いを制して、初の1時間5分台をたたき出した名シーンが忘れられない。

当時14歳だった前田も「ああいった舞台であそこまで出し切って、見応えのあるレースができるのはすごいなと。ただただ、感心していた」。だが、今度は自分が歴史に名を刻む番。2年前にファンの度肝を抜いたその脚で23・1キロに新たなドラマを作り出す。【泉光太郎】

◆前田和摩(まえだ・かずま)2005年(平17)1月16日、兵庫県生まれ。深津中から報徳学園高に進み、22年全国高校総体男子5000メートルで日本人トップ4位。1年時の全日本大学駅伝2区区間3位で3大駅伝デビューし、箱根駅伝は7区区間13位。24年の日本選手権1万メートルで3位に入った自己ベスト27分21秒52はU20日本記録、日本人学生歴代トップ。勝負飯は鉄板焼き肉。177センチ。