2025年、四国4県のクラブが初めてJリーグの舞台でそろい踏みした。野球熱が高いと言われる四国に、サッカー文化が根付い…
2025年、四国4県のクラブが初めてJリーグの舞台でそろい踏みした。野球熱が高いと言われる四国に、サッカー文化が根付いてきた一つの証しだ。
四国唯一の「Jリーグ空白県」だった高知で、2016年創設の高知ユナイテッドSC(高知U)がJ3に初昇格。2月16日の第1節は惜敗したが、第4節で初勝利。5月17日の第13節からは6試合負けなしと健闘した。
だが、順風満帆とはいかなかった。6月に当時J3トップの10得点を挙げていたFWが、完全移籍で離脱。6月には監督だった秋田豊氏(55)が休養した。選手からパワハラの疑いについて申し立てがあったことが理由だった。結局、秋田氏は9月に辞任した。
運営面でも、スタッフとの雇用契約に関して法令違反があったことなどが発覚。J初年度で何もかもが初体験ゆえ、多少の混乱は仕方ないだろう。だが、これだけトラブルが相次いでは、選手も競技には集中しきれなかったはずだ。
10節を残し、欧州で指導者経験を積んだ白石尚久監督(50)に指揮を託した。シーズン終了後のインタビューで白石氏は、パワハラ問題が発覚した6月以降、選手たちがコンディションづくりに十分に取り組めていなかったのではないかという印象があったと指摘していた。
結局、高知Uは18位でJ3残留を決めた。今月24日、白石氏の退任と、24年までチームを率いた吉本岳史氏(47)の監督就任が発表された。J3での2季目へ、クラブは大きな決断をした格好だ。
来シーズン、Jリーグは大きな改革に踏み切る。開幕時期を従来の2月から8月に変更。来年は開幕まで期間が空くため、2~6月に特別大会が開催される。
J2とJ3の計40チームが10チームずつに分かれて戦う方式。四国の5クラブは「WEST―A」に入った。J2勢はJ1昇格プレーオフの決勝で惜しくも敗れた徳島ヴォルティスと、終盤まで上位争いに食い込んだFC今治。J3勢は1季でのJ2復帰へ反攻を期す愛媛FCと、低迷脱却を狙うカマタマーレ讃岐に、高知U。
カテゴリーを越えた「四国ダービー」が堪能できる――。四国のサッカーファンにとって、まさに「特別」な大会になりそうだ。(大西史晃)