様々な脚質のなかでも、外差しに魅力を感じるようになったのは確実にこの馬の影響だろう。12月14日の香港マイル(2着)で…
様々な脚質のなかでも、外差しに魅力を感じるようになったのは確実にこの馬の影響だろう。12月14日の香港マイル(2着)で現役を引退したソウルラッシュ(牡7歳、栗東・池江泰寿厩舎、父ルーラーシップ)は思い出の馬だ。
昨年6月に競馬担当に配属されて約5か月間、現場で経験を積みながら知識を増やし、11月のマイルCSで初めて印を打った。記念すべき初の本命馬。当時はG1に6度出走し未勝利だった。23年のマイルCSは首差の2着。あと一歩のところまできているビッグタイトルを目指し、折れずに走り続ける姿を見て応援したくなった。「今回はチャンスだと思う。何とか最高の結果を残したい」という池江調教師の言葉から勝負気配を感じ、ここでG1馬になってほしいという期待を込めて◎を託した。
4角10番手からキレキレの末脚で直線を貫き、見事に7度目の挑戦にして待望のG1初制覇。2、3着に印が回らず予想は的中しなかったが、テレビの前で拳を握りしめてたのをはっきりと覚えている。続く香港マイルも2着に健闘し、24年のJRA最優秀マイラーに選出された。今年7歳を迎えても全く衰えを見せず、4月のドバイ・ターフで香港最強馬ロマンチックウォリアーを“8ミリ差”で撃破。土壇場での勝負根性も備えていた。
調教からワクワクさせてくれる馬でもあった。栗東・CWコースでの追い切りは、決まって猛時計。当たり前のようにラスト1ハロン10秒台を叩き出し、そのたび池江師が「気絶するかと思ったよ」とうなっていた。好不調の波がなく、いつも自分の力を出し切ることができる馬だった。
史上7頭目の連覇を目指した前走のマイルCSは6着に沈んだが、ラストランで2着と最後まで意地を見せた。今後は北海道日高町・ブリーダーズスタリオンステーションで種牡馬となる。サラブレッドの競走生活は決して長くない。しかし、その血をつないでいけることが、競馬の魅力のひとつ。ベテランの域に達してもとどまることのなかった成長力と、豪快な末脚を次世代へ継承していってほしい。(山本 理貴)