<前編>中日上林誠知外野手(30)が日刊スポーツの独占インタビューに応じた。30日前編、31日後編の2回に渡り掲載する。…

<前編>

中日上林誠知外野手(30)が日刊スポーツの独占インタビューに応じた。30日前編、31日後編の2回に渡り掲載する。移籍2年目の今季は右翼のレギュラーをつかみ、17本塁打、27盗塁と活躍。来季はソフトバンク時代に一緒にプレーした柳田悠岐外野手(37)のような、打席に立つだけでファンをワクワクさせ、ここ一番で頼れる打者になりたい、「竜のギータになる!」という思いを明かした。【取材、構成=石橋隆雄】

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-ソフトバンク時代、同僚の中村晃から「上林の打席は見ていてワクワクする」と言われたことがある

「昔ですね。そう言われるのは、うれしかったですね」

-そういう意味で同じくワクワクさせてくれる柳田は、どんな存在か

「やっぱり、何かしてくれるというか。打席に立つだけで、みんなが注目するし、それは敵味方関係なくそういう存在。性格的な面も裏表なく誰からも好かれるというか、純粋に野球を楽しんでるなっていう感じはありますよね。多少、プレッシャーとかっていうのは感じてるとは思いますけど」

-来季も3番を期待されると思うが、やはり柳田のような存在に

「そうですね。ギーさんみたいになりたいですね。やっぱり『こいつに回したら、何かやってくれそうだな』とか。まだそこまでの域には達してないんで、ギーさんも3番を打つことが、多かったんで。勝負強い打者になりたいですよね」

-柳田は今年の阪神との日本シリーズ第5戦、甲子園で左翼へ同点2ラン本塁打

「やっぱり、なんだかんだ役者だなっていうか。話題をかっさらっていくなっていうのは感じました。で、それもずっと打たれてなかった石井から打ってるわけなんで。ギーさん本人も言ってたように、『自分がいる限りは、世代交代はさせない』っていうか、自分が辞めてから、新しい人がそのポジションに入るっていう。確かに普通は、もうキャリア終盤になったら、若手に譲るじゃないけど、代打に回るとか。控えになっていくとは思うんすけど。でも、そうさせないギーさんのすごさというか。もちろん結果が一番大事なんですけど、そこの結果も出してるっていう。そしたら首脳陣も使わざるを得ない」

-そういう意味では、上林選手も今年レギュラーとって、また来年が本当に大事に

「チームとしても個人としても、いきなり突き抜けて結果を出す、チームは優勝。個人としてもいろいろ一気に行くのもありだし。でも、ホップ、ステップ、ジャンプって井上一樹監督がよく言うように、今年も最下位から4位にホップして。次、チームはステップの番なんですけど、よく順を追って行くっていうのもありだし。とにかく前の年よりも進化し続けていきたいですよね。もちろん、その中で何か挑戦していく中で、後退する場合もありますけど。でも、それは経験として残るんで」

-今年は得点圏打率が2割4分と苦しんだ

「チャンスで打てなかったわけではないんですけど、その確率をもっと上げていきたいし。犠飛なり内野ゴロなり。その状況を見てできれば打点も自然と上がっていくだろうし。最低限っていうところをできていけばいいんじゃないかなと」

-やはりファンが次の打順は上林だからとワクワクさせたい

「そう。だから、見に来てる人たちも『次(の回は)ギータか。トイレに行くのやめよう』とか、なんかそういう存在になりたいです。自分がお客さんでも、多分『ギーさん見たいな』って思っちゃうんで」

-柳田は三振しても絵になる。何が起こるんだろうっていう、その期待感がある

「そうなりたいですね」

◆上林誠知(うえばやし・せいじ)1995年(平7)8月1日生まれ、さいたま市出身。仙台育英では春夏合わせて3度の甲子園出場。13年ドラフト4位でソフトバンクに入団。当時左の外野手が多かったため「内野手」として入団し2年目から本来の外野に戻った。4年目の17年にレギュラーを獲得。18年は全143試合に出場し自己最多22本塁打。22年5月に右アキレス腱(けん)断裂の大けがで離脱。23年オフに戦力外通告を受け、中日に移籍。座右の銘は「運命を愛し、希望に生きる」。仙台育英時代の恩師で佐々木順一朗監督(現学法石川監督)の言葉。韓国出身の母蓮草(よんちょ)さんは現在、韓国料理教室を行い、人気を集めている。185センチ、90キロ。右投げ左打ち。