ノーヒッターを文字通り目前にして、打たれ、降板となった山本(C)Getty Images 2025年シーズンに山本由伸が…

ノーヒッターを文字通り目前にして、打たれ、降板となった山本(C)Getty Images

 2025年シーズンに山本由伸が生んだ名場面は数えきれない。その一方で、忘れ難い“痛み”もあった。9回二死まで続いたノーヒッターが途切れ、チームもサヨナラ負けを喫した現地時間9月6日の試合である。ベンチの外から見守っていたタイラー・グラスノーの証言は、あの日の衝撃を鮮明に伝えていた。

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 球界全体をざわつかせた敗戦は、チームメイトの胸にも深く残っていた。

 現地時間9月6日、ドジャースはオリオールズにサヨナラ負け。先発した山本由伸は、9回二死までノーヒッターを継続する圧巻の投球を披露し、球場の誰もが歴史的快挙を確信しかけていた。

 だが、ジャクソン・ホリデーに痛恨の同点ソロを浴び、山本は無念の降板。その後、救援陣のブレーク・トライネン、タナー・スコットが打ち込まれ、チームはサヨナラ負けを喫する。『Dodgers Nation』のダグ・マケイン記者が「まさに悪夢」と表現した屈辱の一戦だった。

 この出来事について、「最悪の負け」と語ったのが、チームのエース格であるタイラー・グラスノーである。米野球専門YouTubeチャンネル『Foul Territory』出演時に証言を残した。

 背中の張りの治療で遠征には帯同せず、ロサンゼルスの自宅から試合を見守っていたというグラスノーは、こう振り返った。

「最終回にあれだけ悪いことが立て続けに起こるのはなかなかない。見ていて、ヤマが本当に気の毒に思えたよ。彼のピッチングは素晴らしかったし、完璧だったからね。何より最悪なのは、チームが勝てなかったことだった。あれは僕が経験してきた中でも最悪な敗戦の一つだったし、見たことがないものだった」

 その後、チームに合流してからも「あの話はしなかった」と明かし、「蒸し返したくなかった」と本音を吐露する。

「チームも何か信じられないものを見たっていう空気はあったけど、もう頭を切り替えて、前に進もうという空気だった」

 実際、ドジャースはこのショッキングな敗戦の後、4連勝で立て直し、地区優勝マジックを再点灯させている。勝利まであと一死からの崩壊は、単なる痛手ではなく、チームの闘志を再点火させる契機にもなった。

 9回二死まで“ノーヒッター”という頂に迫りながら、白星を手にできなかった山本由伸。それでも、この日の投球はシーズンを通して語り継がれる。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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