武豊騎手、坂井瑠星騎手、そして矢作芳人調教師が30日、KEIRINグランプリが行われる平塚競輪場に来場し、トークショ…
武豊騎手、坂井瑠星騎手、そして矢作芳人調教師が30日、KEIRINグランプリが行われる平塚競輪場に来場し、トークショーを行った。
まず話題にあがったのは、競馬界での1年の振り返りだった。武豊騎手は「怪我なく終えられたことが何よりでした」と切り出す。
「ジョッキーは本当に怪我の多い仕事なので。今年はそれがなかった。宝塚記念で勝てたのも大きかったですね。競馬はうまくいかないことのほうが多いですが、ああいう瞬間があると“競馬っていいな”と心から思えます」
この言葉を受け、矢作師も今年を総括した。
「豊が言っていましたけど、『競馬はたまにいいことがある』って、いい言葉ですよね。今年はフォーエバーヤングの年でした。ただ正直に言うと、日本の競馬では海外ほど良い結果が出なかった。来年はそこを取り返したいですね」
競馬の話題で会場が温まったところで、トークは次第に競輪の話へと移っていく。ここでは三者三様の関わり方が浮かび上がった。
武豊騎手は競輪との出会いについて、「昔、作家の伊集院静さんに誘われたのがきっかけですね(笑)。そこから自然と触れるようになりました。増えたかって?……なくなりました。今もそうです(笑)」と、らしいユーモアで会場を和ませた。
続いて矢作師は、「もう40年以上になります。中野浩一さん、井上茂徳さん、滝澤正光さんの時代からずっと見てきました」と競輪愛を明かし、「調教師として頑張る理由ですか? 競輪で使うためですよ(笑)」と語り、場内を沸かせた。
一方、坂井騎手はやや表情を引き締め、「師匠の影響もあって、賭ける側の気持ちもわかるようになりました。やられる側の痛みを知ることは大事だと思います」と、競技者としての視点を口にした。
話題は、目前に迫ったKEIRINグランプリにも及ぶ。出場メンバーについて武豊騎手は、「初出場の選手も多く、新しい波を感じます。時代が動いているなと思いますね」と印象を語った。
矢作師は「イケメンが多いですよね(笑)」と笑わせつつ、「真面目な話をすると、長年の積み重ねやレースの中での展開力を重視して見ています」と、競輪ならではの見方を披露。坂井騎手も「正直、全員を詳しく知っているわけではないですが」と前置きしながら、「同世代の選手には特に頑張ってほしい。中でも眞杉匠選手には注目しています」とエールを送った。
競馬と競輪、それぞれの世界を知る三者によるトークは、終始和やかな雰囲気の中で進行。トップランナーたちの言葉に、詰めかけたファンからは大きな拍手が送られていた。