【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】◆血統で振り返る有馬記念【Pick Up】ミュージアムマイ…

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆血統で振り返る有馬記念

【Pick Up】ミュージアムマイル:1着

 皐月賞に次いで中山競馬場で2つめのGIを制覇しました。

 父リオンディーズは、エピファネイアの半弟、サートゥルナーリアの4分の3兄にあたる良血で、現役時代に朝日杯FSを勝ちました。ミュージアムマイルの他に天皇賞(春)を勝ったテーオーロイヤルを出しています。

 ミュージアムマイルと同じ「リオンディーズ×ハーツクライ」の組み合わせから誕生したインダストリアは、やはり中山の重賞・ダービー卿CTを勝っています。

 母ミュージアムヒルはハッピートレイルズにさかのぼる名門ファミリーに属しており、これまでに産んだ2頭の産駒、ミュージアムマイルとフェスティバルヒル(ファンタジーS)はいずれも重賞を勝ちました。繁殖牝馬として非凡な才能を発揮しています。それぞれの父はリオンディーズとサートゥルナーリアで、シーザリオを母に持つ4分の3兄弟ですから、兄妹の血統構成はきわめてよく似ています。

 エピファネイア、リオンディーズ、サートゥルナーリアの3兄弟は、「母方にハーツクライを持つ配合」が成功しており、エピファネイアはエフフォーリア、ヴァルキリーバース、ジョスランを、リオンディーズはミュージアムマイル、インダストリアを、サートゥルナーリアはカヴァレリッツォ、フェスティバルヒル、ファンダム、コートアリシアンを出しています。「シーザリオの息子×ハーツクライ」は配合的に注目です。

◆血統で振り返るホープフルS

【Pick Up】ロブチェン:1着

 父ワールドプレミアはディープインパクト系の新種牡馬。現役時代に菊花賞と天皇賞(春)を勝ちました。ステイヤーは種牡馬として人気が出づらい傾向がありますが、初年度からGI馬を送り出したのは立派です。ワールドエース(マイラーズC、きさらぎ賞)の全弟、ヴェルトライゼンデ(日経新春杯、鳴尾記念)の半兄にあたる良血がモノをいいました。

 母ソングライティングはアメリカ産馬。父ワールドプレミアがステイヤーだけに、母のアメリカ血統はスピードを強化する意味で好ましく、なおかつ近い世代に含まれるストームキャット、アンブライドルズソングは、いずれも2代父ディープインパクトと相性抜群です。

 ワールドプレミアは新冠の優駿スタリオンステーションで繋養されています。初年度産駒はJRAで4頭出走し、勝ち上がったのはロブチェンのみですが、見事にGI馬に上り詰めました。2026年の種付け料は50万円。GI馬の父としてはかなりお得な価格となっています。