NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン2 第3節2025…

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第3節
2025年12月27日(土)12:00 ハワイアンズスタジアムいわき (福島県)
日本製鉄釜石シーウェイブス 17-22 九州電力キューデンヴォルテクス

釜石とともに生きる。50キャップの軌跡が刻む、ラグビーと人、街


日本製鉄釜石シーウェイブスの山田龍之介選手。釜石に移住後、狩猟免許や防災士の資格を取得したという

トップリーグ時代を含め、公式戦通算50キャップ。そのほとんどを今季で7年目となる日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)で記録し、この日、節目の試合を終えた山田龍之介は、いつもと変わらない穏やかな表情でグラウンドをあとにした。その自然体の姿は、長く彼を知る者にとっては“らしさ”が詰まった光景だった。

釜石SWに加入してからの年月は、ラグビー選手としてのキャリアだけでなく、一人の人間としての価値観を形づくる時間でもあった。

「釜石に飛び込んできた時点で、人生が一つ変わった感覚がありました」

人生の転機。釜石での生活は、グラウンドの外へと視野を広げていくきっかけになった。小さなコミュニティーで暮らす、ラグビー選手という立場。そこには、競技者としての責任だけでなく、地域社会の一員としての自覚と役割が自然と伴う。

山田龍之介が釜石SWに加入後、狩猟免許や防災士の資格を取得したのも、そうした流れの中にある。

「釜石という街で暮らす中で、鹿による被害や山の荒廃、災害リスクといった社会課題を身近に感じるようになりました。まずは知るところから始めたいと思い、資格を取得しました」

資格は目的ではなく、街を理解するための入り口。その距離感は彼らしい。無理に背負い込まず、しかし決して目を背けない。ラグビーと同じように、いまできることを積み重ねることで未来を築き上げていく。そのスタンスは彼の人生観そのものだ。

釜石という街にとって、ラグビーは特別なスポーツだ。そして山田龍之介は、そのラグビーが「人と人をつなぐ場所」であってほしいと考えている。

ラグビーが街のハブとなり、釜石SWを起点に、あるいは仲介とし、さまざまな分野、業種、世代のつながりが網目のように広がっていく。彼自身にとってラグビーは、競技であると同時に、人と人、人と街をつなぐ接点でもある。街の中に自然と溶け込んでいく存在でありたい。その思いは、日々の振る舞いの中に込められている。

50キャップという数字は、確かに一つの到達点だ。だが、それ以上に積み重ねられてきたものがある。

「釜石に人生を捧げよう」

釜石に住み始め、次第に抱くようになった覚悟にあふれる言葉。しかし、決して仰々しくはない。シリアスさも感じさせない。こういった言葉を柔らかく、ナチュラルな口調で表現できるのは、彼の人間性とこれまでの経験が成せる業にほかならない。

ラグビーと向き合い、街と向き合い、人と向き合う。その姿勢は数字以上に、チームと釜石の風景の中に、強く、そして寄り添うように刻まれている。

(髙橋拓磨)

日本製鉄釜石シーウェイブス


日本製鉄釜石シーウェイブスのトウタイ・ケフ ヘッドコーチ(右)、河野良太キャプテン

日本製鉄釜石シーウェイブス
トウタイ・ケフ ヘッドコーチ

「みなさん、こんにちは。本日は残念な結果となりました。この試合に懸ける思いは選手全員同じだったと思いますが、後半にうまくいかない場面が多くなりました。テリトリーも思うように取れず、ポジションを前に進められない時間帯が続いてしまったことが、結果につながったと感じています」

──理想的な前半となりましたが、後半は押し込まれました。その要因について教えてください。

「相手陣内でのプレーがほとんどできなかったことが一番の要因です。われわれのゲームプランの重要な部分に敵陣でプレーすることがありますが、相手22mライン内に入れたのは、おそらく2回程度だったと思います。要因はシンプルにエラーです。ボックスキックの場面でのミスや、キックがうまくいかなかった場面、ラインを越えたあとにペナルティを与えてしまった場面など、細かなミスが重なりました」

日本製鉄釜石シーウェイブス
河野良太キャプテン

「ありがとうございました。結果としては悔しい敗戦となりましたが、前半は自分たちのやるべきことを遂行し、良い形でゲームを進められたと思います。課題は後半です。自分たちのミスからエリアを前に進めることができず、苦しい展開になってしまいました。その積み重ねが、この結果につながったと受け止めています」

──終盤まで僅差で推移した試合の中、選手間ではどのようなコミュニケーションを取っていましたか。

「耐える時間帯が続いていたので、そこは我慢して切り替え、なんとかエリアを取り、相手陣内でアタックする時間を増やそうと声を掛け合っていました。ただ、先ほど(トウタイ・ケフ)ヘッドコーチも話したとおり、自分たちのミスでアタックする時間をなかなか作れず、苦しい展開になってしまいました」

九州電力キューデンヴォルテクス


九州電力キューデンヴォルテクスの今村友基ヘッドコーチ(左)、古城隼人キャプテン

九州電力キューデンヴォルテクス
今村友基ヘッドコーチ

「本日は素晴らしい天候の中、また素晴らしい環境を準備していただいた関係者の皆さまに感謝申し上げます。遠征が続く中での3戦目ということで、多少の疲労が溜まった状態で臨んだ試合でした。前半は、2枚のイエローカードもあり、14人で戦う時間帯が長く、自分たちで自分たちの首を絞めてしまった部分があったと思います。その中で日本製鉄釜石シーウェイブスさんにモメンタムをもっていかれてしまいました。ハーフタイムでは、規律の部分と、今週、そしてプレシーズンから取り組んできた自分たちのスタンダードをやり切ることにフォーカスしようと共有しました。それを選手たちがしっかり体現してくれたことを誇りに思いますし、このあとのシーズンにつながる非常に良い勝利だったと感じています。ありがとうございました」

──後半、逆転までもっていけた要因はどこにあると捉えていますか。

「自陣からでもスペースがあれば積極的にボールを動かしていくという部分で、スペースを使えたことが流れを引き寄せた要因だと思います。また、ブレイクダウンで自分たちのスタンダードを上げていこうと共有していたので、前に出る勢いのあるラグビーができました。一方で、ゴール前まで持ち込みながら相手のプレッシャーに負けて得点を取り切れなかった場面も多く、そこは今後の課題だと感じています」

九州電力キューデンヴォルテクス
古城隼人キャプテン

「ありがとうございました。3戦目ということで、1戦目、2戦目で出た課題をしっかり修正して今週の試合に臨みました。前半は苦しい展開でしたが、後半はもう一度、自分たちのスタンダードを見せようと話し合い、自分たちのプレーができたことが勝利につながったと思います。まだ3試合を終えた段階で、これから年明け以降も試合は続きます。今日出た課題をチームで共有し、修正しながら、より良いチームへと成長していきたいと思います」

──前半は14人で戦う時間が多い中、選手間ではどのような共有を図っていましたか。

「できる限りマイボールの時間を増やし、時計を進めながらプレーすることを意識していました。そのために、しっかりボールを保持し続けるという指示を出していました。後半は途中出場の選手も含めて、相手を下げるキックをうまく使えたこと、そしてコンテストキックを再獲得できたことが大きかったと思います」