大谷への死球で退場を命じられたスアレス(C)Getty Images 2025年シーズンを振り返る上で、大谷翔平を直撃し…

大谷への死球で退場を命じられたスアレス(C)Getty Images
2025年シーズンを振り返る上で、大谷翔平を直撃した“報復死球騒動”は避けて通れない出来事だろう。故意か偶然か。その議論は、暗黙のルール、選手保護、興行価値にまで広がっていった。あの6月の4連戦で起きた一連の出来事は、今も球界に問いを投げかけている。
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発端は、現地時間6月16日から始まったドジャースとパドレスの4連戦だ。両軍合わせて8つの死球が記録される荒れ模様となり、第4戦ではフェルナンド・タティスJr.への死球を巡って両指揮官が衝突、退場者まで出る遺恨シリーズへと発展した。
その渦中で、大谷も“標的”となり、4試合で2度の死球を受けた。とりわけフォーカスされたのが最終戦だ。9回裏に守護神ロベルト・スアレスの100マイル(約160キロ超)の速球が右肩付近を直撃。大谷が顔をしかめるシーンは、多くの議論を呼ぶことになった。
試合後のコメントも因縁を深めた。デーブ・ロバーツ監督は「カウント3–0から右投手が左打者に当てる。間違いなく意図的だ」と指摘。一方、パドレスのマイク・シルト監督は「故意かどうかはともかく、もう十分だ」と語り、双方の主張は平行線をたどった。
この出来事は米メディアでも大きく取り上げられ、批判の矛先はスアレスにも向かった。米紙『New York Post』のジョン・ヘイマン記者は、『MLB Network』の番組で「スアレスは試合直後のコメントを拒否した。つまりあれは『わざとだった』ということだろう」と指摘したうえで、次のように語気を強めた。
「ただ、嘘をつくよりはコメント拒否した方がマシだと私は思っている。誰もが分かっているはずだ。彼が“やった”ということはね。結局は目には目を歯には歯をということなんだろう。ただ、オオタニに当てるのは絶対にダメだ」
ヘイマン記者は、さらに熱弁を続ける。
「オオタニは次元を超えた存在だ。当てるなんてことは許されないよ。彼が出る試合は最初の一球から最後までワクワクが続くんだ。ロサンゼルスの人間が最後まで残って試合を見てるってことが何よりも凄いことなんだ。だから野球界のためにも、彼に意図的にぶつけるなんてことはあっちゃいけない」
実際、スアレスはこの死球の直後に退場を宣告され、その後MLBから3試合の出場停止と罰金処分を受けた。ただし本人は「狙ったわけではない。退場は審判の判断だ」と故意を否定した。
報復という“慣習”と選手の安全、スター選手の保護と競技の厳しさ。大谷に向かった速球は、一人の打者だけでなく、メジャーリーグ全体に重い問いを突きつけたと言っていい。
2025年を振り返るとき、あの6月の連戦は単なる乱戦ではなかった。暗黙のルールの是非を考えさせた出来事として、確かな爪痕を残したシーズンの一場面だった。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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