<全国高校サッカー選手権:山梨学院0(6PK5)0京都橘>◇29日◇1回戦◇浦和駒場京都橘が、無念の3大会連続初戦敗退を…
<全国高校サッカー選手権:山梨学院0(6PK5)0京都橘>◇29日◇1回戦◇浦和駒場
京都橘が、無念の3大会連続初戦敗退を喫した。
12年度の準優勝校。2度の優勝を誇る山梨学院(2大会連続11回目)との1回戦屈指の好カードに挑んだが、J1ヴィッセル神戸入団が決まっているU-18日本代表FW伊藤湊太(3年)が本調子でなく途中出場で、痛恨のPK失敗もあって及ばなかった。
右膝にテーピングを巻いた伊藤は、コンディション調整も含めて後半からの出場。20分にピッチへ投入されると、いきなりPKを獲得して違いを見せた。しかし「最近、PKの調子が悪くて…自信あったのに、練習でも外すことが増えてきて」という負傷明けのエースの不安が的中。迷いも出て、右足で左へ蹴った26分のキックは、弱く、甘くなり、相手の1年生GK石井那樹にキャッチされた。投入から6分後にヒーローとなるチャンスを逃した。
0-0のまま迎えたPK戦では、リベンジの1番手を任された。先攻の山梨学院1人目が成功した後、重圧のかかる場面。今度はゴール右隅に、読まれながらもコースの良さと速度で上回り、執念で決めた。
その後、山梨学院は6人目まで、京都橘は5人目まで全員成功。後攻6人目、京都橘はMF宮田奏(3年)が止められて力尽きた。
試合後、涙で目を赤くした伊藤は「チームを勝たせることができなくて申し訳ない…。(いきなりのPK奪取も)いいプレーをしても意味がない」と肩を落とした。昨年の選手権で活躍し、神戸から声がかかった186センチの本格派。「人生を変えた場所」に帰ってきた。
昨年度も初戦敗退で「高校の中で最も注目度の高い大会。今年こそゴールを取って勝たせたい」と思い描いていたものの、右膝にテーピングを巻いた状態も含めて復調しきれず、涙をのんだ。
13大会前の準優勝を上回る夢は敗れ、今後はプロやA代表という次の夢へ切り替えるしかない。「いい指導者、チームメートに恵まれて幸せだった。次はヴィッセルを勝たせられる、点を取れる選手になっていきたい。どれだけ自分が通用するか楽しみ」。20歳で迎える28年ロサンゼルス五輪(オリンピック)も見据える逸材が、短かった冬の教訓を進化に生かす。【木下淳】