ピカソを圧倒して勝利した井上。そんな日本人ファイターへの評価は、“偉才”クロフォードをも上回るというものも目立っている(…

ピカソを圧倒して勝利した井上。そんな日本人ファイターへの評価は、“偉才”クロフォードをも上回るというものも目立っている(C)Getty Images

 井上尚弥(大橋)がレベルの高さを見せつけたサウジ決戦は、かねてから注目を集めてきたパウンド・フォー・パウンド(PFP)を巡る議論を白熱させている。

“怪物”は負けなかった。現地時間12月27日にサウジアラビア・リヤドで行われたスーパーバンタム級4団体統一タイトルマッチで、統一王者の井上は、WBC世界同級2位アラン・ピカソ(メキシコ)に3-0の判定勝利。これで前人未到となる世界戦27連勝となった。

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 試合内容は終始、“モンスター”のペースで進んだ。ピカソは防御を固めながら時折、反撃に転じようとしたが、井上はまともにダメージを受けず。中盤から終盤にかけては、相手との距離を詰めて足を止めて強打を見舞うなど、KOを狙った好戦的な戦いを見せた。最終的に判定決着となったものの、勝者がどちらなのかは火を見るよりも明らかだった。

 ただ、試合後に中継を担った『Lemino』のインタビューに応じた井上は「攻略できなかったのは自分の弱さ」と吐露。さらに「ちょっと集中力に欠けるというか。まぁ自分自身は全く納得していない内容」と守勢に回っていたピカソを打ち崩しきれなかった己を断じた。

 もっとも、これが井上にとって2025年の4戦目。トップファイターとしては異例の過密日程を消化したわけだが、いずれの試合も結果と内容の双方で負けていなかった。しかも4戦中2戦でKO勝利を飾った破壊力は、彼の図抜けた才覚を物語ると言えよう。

 ゆえにPFP議論においても井上が「1位にふさわしい」とする意見は尽きない。米ボクシング専門サイト『Boxing Scene』は公式Xで「ピカソに対する判定勝利の後、ナオヤ・イノウエはパウンド・フォー・パウンドリストでどこにランクさせるべきか」とファンに“モンスター”の価値を問いかけた。

 当然ながら議論百出の事態となった。今年9月に男子史上初となる3階級での4団体統一を成し遂げ、今月16日に現役引退を表明したテレンス・クロフォード(米国)や、ヘビー級史上初の4団体統一王者でもあるオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)を1位とする意見も目立った。

 その一方で、「ピカソをノックアウトすべきだったとは思うが、イノウエは完璧な試合運びで技術的に優れていたから1位だ」「今のイノウエほど拳で傑作を生み出せる戦士はいない」「間違いなく1位。すくなくとも今年のナンバーワンだ」と井上を推す声も目立った。

 また、ダン・ラファエル氏は自身のXで、井上、クロフォード、そして世界2階級制覇王者となったジェシー・“バム”・ロドリゲスをリストアップ。その上で「2025年のボクシング界で最優秀ファイターは誰だ?」と年間最優秀選手を問いかけた。

 すると、これにもファンたちは反応。「1年で4度も自分の統一王座を守り抜いた男だ。クロフォードは好きだけど、カネロはここ数年イマイチ。何よりも活動量を重宝すべき」「バド(クロフォードの愛称)は1回しか戦ってない」「そもそも議論にならない。明らかにイノウエだ」「4回勝った価値は大きいよ」とクロフォードよりも井上を推す意見が集中した。

 激闘続きだった25年のボクシング界。その中で4戦を戦いきった井上の声価は確かに高まっているようだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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