プロボクシング4団体統一世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥(32=大橋)が、大差判定勝ちを収めたWBC同級2位アラン・…
プロボクシング4団体統一世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥(32=大橋)が、大差判定勝ちを収めたWBC同級2位アラン・ピカソ(25=メキシコ)との防衛戦から一夜明けた28日夜、開催地のサウジアラビア・リヤドから帰国。危なげない勝利にも試合直後に「納得できない内容。自分の甘さを感じた」と語った理由を明かした。
大橋会長によると「調子は今年の4試合の中で一番良かった」という。ところが試合当日、会場入りしてからピカソ陣営の抗議でバンデージのまき直しを要求されるなど振り回された。「ルールミーティングでOKだったし、全然違反もしていないのに、4団体とサウジのコミッションがバラバラで意思統一ができていなくて混乱した」と大橋会長。井上も「(4団体のうち)ルールミーティングにいなかったコミッションがあった」と明かした。
さらに「(ピカソ陣営の)控室が隣の隣だった」と井上。大橋会長は「(ピカソ陣営が)大騒ぎしていた。いらつかせようとしているのかと思った」と当時の心境を明かした。この一連の騒動で井上は心が乱れたようだ。「試合直前にバタバタしたり、バンデージもいろいろあったり、気持ちと体が一致せずに戦ってしまった。そこで自分の気持ちが制御できなかったのは一つ反省」と当時の心境を振り返った。
試合は終始井上が圧倒したが、大橋会長は「練習の時は調子よかったけど(試合開始後)1ラウンドを見て判定までいくと思った」。トレーナーの父真吾氏も「相手をなめていたわけじゃないけど、あれは尚弥の試合じゃない。ちゃんと順をおって組み立てていけば、もっともっと違う試合になったと思う。そこは納得していない」と試合内容を不満そうに振り返った。
井上は「(ピカソ陣営に)リスペクトを感じていない。終わって気持ちがすっきりしない。あんな対戦者は初めて」と本音をもらした一方で「この試合で勉強として経験できたのは次にしっかりつながる」と最後は前向きに語った。【首藤正徳】